歌舞伎俳優の中村勘九郎(43)と中村七之助(41)が2日、東京・歌舞伎座で「猿若祭二月大歌舞伎」(25日まで)の初日を迎えた。
昼の部では父の十八代目中村勘三郎さんが19888年に銀座セゾン劇場で初演した「きらら浮世伝」を上演。勘九郎が今年のNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」主人公の蔦屋重三郎を、七之助が吉原の遊女お篠を演じる。本作は青春群像劇。初演では勘三郎さんがカツラを飛ばしながら演じるなど、その熱量は語り草となっている。今作は、そうした初演の熱を新作歌舞伎に落とし込んだ傑作に仕上がっている。
「べらぼう」に長谷川平蔵として出演している中村隼人も喜多川歌麿として出演。大河をオマージュした演出も所々に見られた。37年ぶりの再演に勘九郎は筋書きで「父も喜んでくれていると思います」と語っている。
この日は節分。昼の部終演後には公演の出演者34人が舞台上に並び、豆まきを行った。中村梅玉の「これより節分追儺式(せつぶんついなしき)を執り行いたいと思います。いずれも様にもたくさん福が訪れますように。福はー内!」の合図に出演者が升を手に豆入りの袋をまいた。最後は観客とともに手締めで、1年の無病息災を祈った。