将棋の藤井聡太棋王(22)=王将など7冠=が挑戦者に増田康宏八段(27)を迎える第50期棋王戦5番勝負第1局は2日、高知市で指され、先手・藤井が127手で勝利した。終局後、増田は「中盤くらいまではかなり戦えているのかな…と。ただ、中終盤での差を感じる。その差を埋められたら」。初のタイトル戦初戦を終えた増田は22日、金沢市での第2局を念頭に巻き返しを期した。
振り駒の結果、藤井の先手になり戦型は角換わりへ進んだ。1日の前夜祭。増田は藤井と並び立った壇上で、「藤井棋王にはずっと負けていて得意戦法の角換わりが難敵。後手番だと、受けざるを得ないので先手番が来ることを願っている」と牽制球を投じた。
対藤井戦は1勝6敗。ここ3局は、いずれも後手番での角換わりで敗れていた。藤井を誘っているようであり、避けたがっているようでもあったが振り駒の結果、実際に後手番になり、藤井の戦型選択を受けて立った。長く激しい中盤戦を経て、藤井に抜け出された。
高知市では増田の師匠・森下卓九段(58)も1995年の同じ棋王戦第1局で当時の羽生善治棋王に敗れていた。森下はJT杯2回など計8回の棋戦優勝を誇るが、6回挑んだタイトル戦はうち4度を羽生に阻まれ、タイトルに届かなかった「悲運の棋士」。年下の絶対王者へ挑む構図も増田に通じ、師弟の悲願がかかったシリーズになっている。