力感はなくてもインパクト抜群の57球だった。ソフトバンクに新加入した上沢直之投手(30)が2日、今キャンプ初のブルペン入り。全8球種を原点に戻って投げた。
「僕の持ち味はやっぱりフォームとボールのギャップがあるっていうこと。そこは意識して、なるべくゆったりしたフォームで強いボールを投げるというのを意識してやってます」
ワインドアップで48球、セットポジションでも9球。直球を中心にカーブ、パワーカーブ、フォーク、シュート、スライダー、カットボール、チェンジアップを映像で確認しながら投げた。真横、捕手の後方と2カ所でチェックした小久保監督は「去年、アメリカでバランスが崩れていたと聞いたけど、そのときのフォームは見ていないのでね。でも、日本ハム時代に我々が苦しんだ間合いが出ていた。良かった時の間合いでしたね」とらしさを再認識していた。
今年5度目となるブルペン入り。受けた福田優人ブルペン捕手の左手には衝撃が残っていた。「本当に肘を痛めてたのかとブルペン捕手陣みんなで言い合いました。シュートとカットボールが浮き上がるし、力感がまったくないのにベース板の上でさらに押し込まれる」と“エグさ”を表現した。
日本ハム在籍時の23年以来の開幕ローテーション入りへ。「僕は本当に競争する立場なので」。周囲の驚きをよそに満足する様子は一切なかった。(井上 満夫)