阪神ドラフト3位・木下(KMGホールディングス)が、捕手すら軌道を予測できない“不気味ストレート”を披露した。今キャンプ初のブルペン入り。捕手を座らせた状態で35球を投じた。最速156キロの速球派らしく、力強いストレートをミットに突き刺したが、受けた栄枝を驚かせたのは、球威ではなく軌道だった。
「(栄枝から)球が動いていると。なんか不気味だけど、いい感じと言われました。(自分でも)なぜ曲がるのかわからない…」
自身も困惑する“魔球”。不規則な動きをしても、球威は失われずにミットに届くことが特徴だ。投手を始めた福岡大1年時からその特異性に気づいており、「最初は変えたいと思っていた」ときれいな軌道を追い求めたが、すぐに思い直したという。
「自分にとって一個の武器。きれいな球筋よりは打ちにくいかなと思うので。そこをしっかり生かしていけたら」
栄枝は新人右腕のムービングファストボールの特徴を、同じく動く直球を持つ村上と比較して説明した。「(動く直球の中でも)村上はきれいに真っスラする。木下の場合は打者の手元までどんな動きをするかわからない。伸びてきたり、落ちてきたり。予測できない」と目を丸くした。
驚いたのは栄枝だけではない。他球団007は早くも“不気味ストレート”に警戒心を強めた。ヤクルト・松井光介スコアラーはブルペンで投げた才木らよりも「(木下が)一番目立っていましたね」と明かした。目を引いたのはやはり、不規則に動く直球だった。「見ていて、ちょっと動いてい
そうな感じがあった。球自体も強い」とうなった。
捕手をも惑わすムービングファストボールの使い手が望むのは、開幕1軍だ。「いい時のフォームで投げられている」。初ブルペンで早くもアピールに成功。あとは実戦で真価を発揮する。
(松本 航亮)