ドジャース・大谷翔平流クリケット打法で開眼だ。阪神・佐藤輝明内野手(25)が春季沖縄キャンプ第1クール2日目の2日、ランチ特打に初登場。66スイングで16本の柵越えを放ち、そのうち11本を中堅から左翼方向へと運んだ。臨時コーチを務めたOBの糸井嘉男スペシャルアンバサダー(43=SA)が持参したクリケットのバットを既に昨年12月から練習ドリルの一つとして導入。早速、広角打法を披露した背番号8は今季目標の「30本塁打、100打点」に加えて打率向上も期待させる好スタートを切った。
キャンプ2日目にして早くも自主トレの成果をバットで証明した。その舞台は初のランチ特打。佐藤輝は持ち前のパワーを誇示しつつ、その放物線のほとんどは中堅から左翼方向に描いたのだった。
「しっかりオフでやってきたことの延長というか、そういうことをしっかりできればなと思って。今のところはいい感じ」
66スイングで柵越えは16本。そのうち中堅から左翼方向へのアーチは11本を数えた。昨年11月の秋季安芸キャンプでは、甲子園の浜風に対応するため“本塁打量産打法”の習得に本格着手。さらに技術をブラッシュアップさせるため今オフの自主トレ期間で新たなアイテムを導入していた。
「面の意識をしっかり持つというのを意識したいので、使っています」
ランチ特打で打球音を響かせる前だった。ティー打撃では「ゴツン、ゴツン」と鈍い音が響いた。その正体こそがクリケットのバット。この日から近大の先輩であり、臨時コーチを務めた糸井SAが持ち込んだ2本のバット。昨季は54本塁打を記録して2年連続で本塁打王に輝いたドジャース・大谷が取り入れていることでも有名なアイテムだ。バットのヘッドを返さず面で打つことを意識付けする目的で使用。それが昨季の本塁打量産にもつながったはずだ。糸井SAが交流のあるクリケット選手の木村昇吾選手を通じてバットを発注。かわいい後輩のためにと沖縄に秘密兵器を持ち込む算段だった。しかし…。佐藤輝は昨年12月から自主トレで導入。既に練習ドリルの一つとして“大谷流クリケット打法”の習得に着手していた。
打撃を見守った糸井SAは「めちゃめちゃよかった。まだまだ可能性を秘めている。とんでもない成績を出すのが見たい」と絶賛した。持ち前のパワーに技術がさらに備われば打率向上も見込める。“師匠”の言葉に呼応するように5年目の若虎は、改めて今季の目標を明かした。
「そっち(右方向)ばかりじゃダメ。(グラウンドは)90度ある。それをしっかり使えたら。30本、100打点。行けたら最高じゃないですか」
背番号8に広角打法が備われば、まさに鬼に金棒だ。(石崎 祥平)
【聖地ラッキーゾーンいらないわけない】○…佐藤輝は昨年12月23日の契約更改交渉の席で球団側に伝えた「ラッキーゾーン」設置の要望について改めて言及した。「いらないわけないでしょ(笑い)。今日くらいの風が吹いてくれたらいいけど、あんな風は甲子園で見たことがないので」と要望を取り下げる意思は示さなかった。ランチ特打で中堅から左方向に11発を放ち広角に長距離を打てる力を誇示。それでも右翼から左翼方向へ強く吹く聖地特有の「浜風」を警戒した。