高校通算45本塁打で、投手としては最速153キロの桐朋(東京)の森井翔太郎内野手(18)がアスレチックスとマイナー契約を結んだ。日本でも高く評価されてドラフト1位候補とまで呼ばれた逸材は、メジャー挑戦への信念が最後までぶれることがなかった。
森井と初めて出会ったのは昨年4月。春季大会を終え、最後の夏に向けた取材で出向いた。当時から進路に注目が集まり、その際も森井は「メジャーリーグで活躍するためにその道を模索しています」ときっぱり。将来、海の向こうで活躍することを大前提に進路を考えていた。
その後にプロ志望届を提出した目的も、メジャー球団のスカウトとの接触機会を設けるため。NPB12球団に対して意思表示の文書も送っていた。自ら退路を断ち、本気でメジャーで成功する覚悟の強さを感じた。
メジャーからは計9球団ものオファーが届き、契約球団決定の際も自らの考えを貫き通した。高卒でのメジャー挑戦を決めた昨年9月から「3年でのメジャー昇格」と言い続けてきた。大谷、山本、そして、佐々木も契約したドジャースも獲得に名乗り出ていたが、伝統的に低予算で若い選手を積極起用し、出場機会をより早くつかむことができる可能性のあるアスレチックスを選択。28年にはネバダ州ラスベガスに本拠が移転することが決定しており、新本拠地ではチームの顔と呼ばれる存在に成長している可能性も十分にある。
二刀流では昨季「50―50(54本塁打、59盗塁)」を達成した大谷が大先輩。その存在を「追い続けたい理想像」と尊敬しつつ、「大谷選手とは違い、自分は最初から米国にいるのが強み。一緒だと思わず、自分だけの強みになる部分を探していきたい」と、二刀流の新たな先駆者となることも見据えている。偏差値71を誇る進学校から生まれた逸材が、日本野球界にどのような影響を与えるか今後も注目したい。(記者コラム・村井 樹)