“物言う株主”として知られる米投資ファンド「ダルトン・インベストメンツ」は3日、フジテレビの親会社フジ・メディア・ホールディングス(HD)に対し、日枝久取締役相談役(87)の辞任を求める書簡を送ったと発表した。書簡では「独裁者」という言葉を3度使用し、フジ・メディアHDの「異常なガバナンス、経営体制」を批判している。
書簡を送ったのは、ダルトンの関連会社であるライジング・サン・マネジメント(RSM)。「信頼回復に向けたガバナンス改革実施のお願い」と題し、スポンサーや視聴者の信頼を回復するための3条件を挙げた。
「何よりも重要なこと」と1番目に挙げたのは、日枝氏がフジ・メディアHDとフジテレビの取締役を辞任すること。フジ・メディアHDのガバナンスに根本的な欠陥があるとし、「日枝久氏はフジ・メディアHDおよびフジテレビの取締役会を絶対的に支配しており、影響力を保持しています」と指摘。「マスメディア集中排除原則は特定の少数者によって複数の放送局が支配されることを防止するものですが、何故たった1人の独裁者がこの巨大な放送グループを40年近くも支配することが許されてきたのでしょうか。信じ難いことです!」と強い言葉で批判した。
「フジ・メディアHDおよびフジテレビのガバナンスが直ちに刷新されない限り、スポンサーおよび協力者は戻ってきてくれないでしょう」と指摘も。そして先月30日に設置された社外取締役のみで構成される「経営刷新小委員会」について、「これは私たちが望んでいたことであり、心から歓迎します」と期待するとともに、「これらの社外取締役の責任は極めて重大です。社外取締役が日枝久氏および日枝久氏が指名してきたその他の取締役の辞任を要求し、経営体制を刷新しない場合には、フジ・メディアHDの株主価値の毀損について、社外取締役も責任を負うことになります」とした。
ダルトンはまた、「今後このような独裁者の登場を許さないために」取締役の過半数を独立取締役とすることや、取締役会はフジテレビ社員、株主、スポンサー、視聴者の「4つの重要なステークホルダー」の声を聞く必要があると、さらなるガバナンス改革も求めた。
ダルトンはグループでフジ・メディアHDの株式を7%超保有。これまで2度書簡を送っており、1月15日には、芸能界を引退した元タレントの中居正広氏と女性とのトラブルに端を発した同局の問題について第三者委員会の設置を求め、「我々は憤慨しています!」と声明を発表していた。