◇きょう5日から王将戦第3局開幕
第2局は藤井聡太王将が永瀬拓矢九段に勝利し、連勝発進した。王将4期の谷川浩司十七世名人(62)が第2局を解説し、永瀬が先手になる第3局を展望した。
第2局は後手・永瀬の誘導で横歩取りになった。両者研究済みの進行だったのだろう。永瀬からの28手目△8八角成に藤井は▲同金と取った。
▲同銀が習いのある指し方だけに「昔なら考えられない手。でも▲同金に永瀬九段はわずか2分で飛車を自陣まで引いた。飛車が素通しなのでビックリしました」
タイトル戦期間以外は練習将棋を指す両者。永瀬からの38手目△3三桂の飛取りに、飛車を横に寄らず▲2四飛△2三歩▲3四飛(A図)として4段目で頑張り、自身の9四歩へ利かせた。藤井の突っ張った指し方に永瀬は公式戦最長考慮の2時間32分で△1四歩。「(逆サイドの)8、9筋が一触即発なので、動いて成果を上げられないか?とまず考えて、でもそれが難しいなら、藤井王将から逆に動いてこられても大丈夫と。1筋の歩を伸ばすのは永瀬王の退路を広げる損のない手です」
読みと読みがぶつかる頂上決戦。これに対する藤井の封じ手▲5六角も見応え十分。△7四角の合わせに▲6五桂で角交換を避け、▲2四歩の攻めも見せた。藤井が左辺から攻めると1筋は永瀬王の退路となるが、直前の△1四歩を無効にするため55手目▲2四歩から挟み撃ちを狙った。
「3四飛、6五桂も不安定だが、ギリギリのところで最大限に働く形にしている。ただ、▲5六角を打っても飛車が3四にいるので▲2四歩がどれだけ効果的かは局面によって全く変わる。こういう発想はなかなかできないし、感心した組み立てでした」
第3局は永瀬が先手となる。戦型予想は「相掛かりです。(永瀬先手の)第1局が作戦的にうまくいった。相掛かりからの速い動きはある」とする。右桂を活用しての速攻だろうか。
歴代5位の27期を獲得したタイトル戦経験から「番勝負は一局一局が勝負」と指摘しつつ、「永瀬九段は2連敗している、第3局の先手番はカド番に近い」と自身の経験と照らし合わせて解説。藤井とのタイトル戦は4度目だが、初の2日制。「このシリーズの勝負もあるし、2日制でどう戦うかというのも大きなテーマ。内容でも手応えを感じたいというのはある」と必勝態勢を敷くだろう永瀬の出方を注視した。 (構成・筒崎 嘉一)