「浜風」にも負けない!阪神・井上広大外野手(23)が沖縄・宜野座キャンプ第1クール最終日の4日、進化した打撃を証明した。屋外フリー打撃では56スイングで柵越えは11本。そのうち1本をこの日、右打者では唯一中堅から右翼方向にアーチを描いた。オフからノーステップ打法を封印して左足を上げて長打力向上を目指す新フォームに本格着手。外野のレギュラー奪取を狙う高卒6年目の和製大砲が持ち前の打撃で猛アピールを続ける。
和製大砲の一撃は打球を押し戻す風を切り裂いた。午後から行われた屋外でのフリー打撃。その20スイング目だった。曇天の宜野座に放たれた井上のアーチは右中間にかかった。
「この風で入ったんですか。打球方向を見ていませんでしたけど、逆方向への打球は継続していきたい部分なので良かった」
フリー打撃時、風速は7メートル以上にも達していた。時折、寒気も流れる悪条件。加えて右翼から左翼方向へと吹いていた本拠地・甲子園で見られる「浜風」は新助っ人・ヘルナンデスや大山など右打者の逆方向への打球をことごとく失速させた。そんな中、右打者では唯一、右中間の芝生席へたたき込んだ。確かな1本はオフから実直に取り組んできた成果の証。56スイングで、左翼への豪快弾も含めて11本の柵越えを放ち第1クールを締めくくった。
「まだキャンプは始まったばかりですけどだいぶん感覚も良くなってきている」
オフにDeNA・牧との合同自主トレにも 〓〓 参加。実績ある打者の打撃も参考にして取り組みを始めた左足を上げる新フォームは着実に進化している。「コンタクト重視」のノーステップ打法から「足を上げることで反動を使える。広角に打球を飛ばす」ことを最大の狙いとする今季。屋外でのフリー打撃では第1クールの2日目から3日連続で中堅から右翼方向へ放物線を描いている。
「とにかく振って形を固めていきたい。あの時、“ああやっておけば”と後悔はしたくないので」
今春キャンプのテーマの一つに置くのが「質より量」だ。その言葉を裏付けるように早出練習開始の午前9時からスローボールマシンやティー打撃に始まり、全体練習終了後も日が暮れるまでスイングを続ける。たとえ思い描くバットの軌道にならない時が多い日でも下は向かない。「振っていく中で、見えてくるもの、感じるものはあると信じている」と言葉に力を込めた。
昨季の3本塁打は、全て中堅から左翼方向。最終目的地は広角への長打アップだ。「とにかく継続してやること。それだけです」。“浜風”にも負けない打球を身につけることができれば、レギュラー獲りも自然と近づいてくる。 (石崎 祥平)