日本ハム・今川優馬外野手(28)が4日、沖縄・国頭の2軍キャンプで行われた紅白戦に「2番・左翼」で出場。3回2死から左翼後方のネットを直撃する豪快なキャンプ1号を放った。新庄剛志監督からのアドバイスを実践し、今季12球団1号アーチ。第1打席の四球の選び方を含めて大絶賛したビッグボスは、くすぶるプロ5年目のレギュラー獲得の可能性も言及した。
沖縄の寒気を切り裂いた。打球は左翼後方のネットへ一直線。最低気温11度の寒さを、今川のバットが吹き飛ばした。「完璧でした。でも、久しぶり過ぎて全力で走っちゃいました」。長距離砲と期待されながらもくすぶり、昨季は1軍で自己ワーストの出場6試合。後のない5年目のキャンプ初実戦、ファーストスイングで結果を出した。
今川以上に喜んだのが、視察した新庄監督だ。「物凄くこれ、もしかしたらもしかするんじゃないか、ぐらいのアピールでしょ」。何より評価したのが初回、フルカウントから変化球を選んでの四球。「僕が見に来ているのを知っていて、打ちたいとこでしっかり我慢した。その後のホームランにつながった」。自身のアドバイスを実践してくれたことがうれしかった。
「もっと早くタイミングを取りなさい」――。そう言い続けてきた。今年1月、今川が米セントルイスでの自主トレで体感100マイル(約161キロ)の速球を打つ練習風景を自身のSNSに上げ、「もっと早くタイミング取らないと、もう使えないよ」とメッセージを送った。ヤンキース・ジャッジの打撃コーチを務めるリチャード・シュンク氏に指導を受けながら、今川はタイミングを早く取る練習に取り組んだ。「体重移動しなくてもバットを(体の)後ろから加速すれば、並進運動しなくても飛ばせる」。これで「間」ができ、体が突っ込む悪癖も消えた。初回に変化球を我慢して四球を選べたのも、その「間」があったからだ。
「四球選んでヒットとかいうオープン戦が増えてきたら、一気にレギュラー獲るかもしれない」。そんな新庄監督の言葉を聞いた今川は言った。「沖縄、雪降っちゃうかもしれませんね」。冷たい風で体感温度2度の国頭を、この男のバットが熱くした。(秋村 誠人)