広島・矢野雅哉内野手(26)が5日、侍ジャパンの「強化試合・オランダ戦」(3月5、6日=京セラドーム)のメンバーに内定した。宮崎・日南キャンプを視察した井端弘和監督(49)が「守備が非常に素晴らしい。その守備を代表でも見たい」と明言した。堅守が自慢の遊撃手。亜大の先輩でもある侍指揮官からの高評価に「うれしい。もっと頑張りたい」と目を輝かせた。
昨季のゴールデングラブ賞に輝く堅守、美技は健在だった。日南春季キャンプ第1クール5日目に行われたシート打撃。矢野は、仲田が放った三遊間への強烈なゴロをダイビング好捕すると、素早く起き上がって自慢の強肩でアウトにした。
「ポジショニングがよかった。(仲田は)引っ張りなので三遊間に寄っていた。事前準備がしっかりできていたかな…と思います」
平然と答える26歳。3月5、6日に予定される強化試合・オランダ戦(京セラドーム)に臨む、侍ジャパンの最終候補選手に名を連ねる。シート打撃終了後に開かれた囲み取材で、井端監督は自ら切り出す形で亜大の後輩の名前を口にした。
「矢野選手とかね、非常に守備が素晴らしいし、その守備を代表でも見たいな…と」
事実上の代表入り内定。昨秋の国際大会「プレミア12」でも候補に挙がっていたが、左打者が多いことから代表入りが見送られた経緯がある。同監督はさらに、26年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)にも言及し、矢野への期待感を示した。
「WBCは(右打ち左打ちの)バランスを気にしなくてもいいと思う。まだ呼んでいないので、自分の目で一回確かめたい。打撃も粘り強くなっており、飛躍すれば(WBCの候補にも)十分入ってくる選手かなと思う」
現役時代は好守で鳴らした名遊撃手。「守備範囲が広く、球際も強いし、足運びも。ずっと映像を見ていた」憧れの先輩からの高評価に、矢野は感激しきりだ。初めて日の丸を背負う3月の強化試合に向け、意気込む。
「野球人生でまだ一回も(経験が)ない。(代表に)入れたら、いい成長につながるんじゃないかと思う」
捕球やスローイングに安定感を追求する今春。年末年始に継続して振り込み、課題の打撃でも成果が数値に表れる。昨季「140キロ前後」だったスイングスピードが「今日は平均147キロに」上昇。矢野は力を込める。
「スイングは昨年と比べてレベルアップしていると思う。もっと頑張りたいと思う」
オランダ戦を契機にシーズンで飛躍し、来春のWBCへ。26歳の春は、まばゆく輝く。(江尾 卓也)
○…井端監督は、昨年のプレミア12で招集しなかった広島投手陣に高い関心を示した。森浦と塹江の名前を挙げた上で「広島には、いい中継ぎ左腕が多くいる。(国際大会は)左の強打者が多い印象。イニング途中などで中継ぎ左腕が抑えてくれると助かる」と言及。21年の東京五輪に出場した森下については「実績もある。今季にいい成績を出してもらい、秋の強化試合に万全の状態で来てもらえればいい」と高く評価した。
≪大瀬良が“戸郷フォーク”に好感触≫大瀬良が“戸郷フォーク”に手応えをつかんだ。元同僚の巨人・丸を通して戸郷から助言を授かり、今春2度目のブルペン投球で試投。「キャッチボールではダメかと思っていたけど、意外にしっかりと落ちる球もあった。続けてみようかなと思います」。昨季までのフォークは、試合によって落差に大きな差があったという。「最も改善の余地のある球種。投球の幅を広げるために磨きたい」と先を見据えた。