◇ALSOK杯第74期王将戦7番勝負 第3局1日(2025年2月5日 東京都立川市「オーベルジュ ときと」)
【関口武史 第1日のポイント】藤井2連勝で迎えた第3局。先手番の永瀬は角換わり、エース戦法の登板だ。シリーズ前の特集で藤井は「後手番のハンデを軽減する作戦も検討したい」と後手番での戦い方に言及したのが印象的で、本局△6二金~△5二金と手数調整の工夫を織り交ぜ右王に構えたのが準備の作戦。
対する永瀬も、右金の動きと王の移動で手数を調整し、先日指された実戦譜に合流させ迎え撃つ。
藤井は不安定に見える6二王型で△4四歩~△4二銀~△4三銀の繰り替えが主眼の構想。先手から▲2四歩を誘い一気に戦線が盤面全体に波及した。3、4筋の折衝の後△8六歩~△4九角と藤井が果敢に動く。藤井の積極策に対し▲8二歩(A図)から流れを鈍化させたのが永瀬の勝負術。飛車をつり上げ▲4八金から自陣の傷を消しつつ、後手に課題を突き付け堂々と手を渡した。
藤井は「飛車の位置」「8五桂の不安定さ」「馬の安定」という永瀬からの挑戦状をどのように整えバランスを保つか注目だ。(スポニチ本紙観戦記者)