アマチュアボクシングの21年世界選手権金メダリストで、帝拳ジムからプロ転向を表明した坪井智也(28)が6日、東京・後楽園ホールで、A級(8回戦以上)プロテストを受験し、合格した。A級での受験は、12年ロンドン五輪金メダリストで、元WBA世界ミドル級スーパー王者の村田諒太氏に続いて史上2人目。坪井は「僕が獲れなかった五輪の金メダルをミドル級という階級で獲られて、プロでも世界チャンピオンになられた方。うれしい」と率直な思いを明かし「プロボクサーとして新たな一日を迎えた。日本人でA級からテストを受けさせてもらえることはそうないので、うれしく思っている」と喜びを口にした。
この日は、同門でWBOアジア・パシフィック・バンタム級王者・那須川天心(26)のスパー相手、アレハンドロ・ゴンサレス(25=メキシコ、18勝10KO6敗3分け)と3ラウンドのスパーリングを実施。WBCバンタム級シルバー王者相手を初回から豊富な手数で攻め続けた。2回からはギアを上げて上下にパンチを打ち分けると、3回にはカウンターの左フックをあわせ、コーナーでまとめるシーンも披露。「相手の選手は体が大きいのでなるべく打ち合いにならないように、基本的な部分を見せることを心がけた。(手応えは)ぼちぼちですかね」と控えめだったが、ラウンドごとに戦い方を変えるなど、高い技術を披露。筆記試験では100点をマークした。
3月13日に東京・両国国技館で行われるトリプル世界戦興行「U-NEXT BOXING2」で8回戦デビューする予定。対戦相手は未定だが、現在はWBA世界フライ級王者ユーリ阿久井政悟(29=倉敷守安)と6ラウンドのスパーリングを行っていると報告。「スパーと試合は違うが、やっている感じはきつい感じはしない」と3ラウンド制のアマチュアからの適応にも手応え。「後はしっかりパンチを打つことが課題。それができるようになればより怖さも出ると思う。元々打ち合いは嫌いじゃない」と話した。
静岡県浜松市出身。28歳とデビューは遅いが、目指すは静岡県初の世界王者。「僕の世界王者奪取で盛り上がるかは分からないが、“坪井も頑張っているから俺も頑張ろう”と思ってもらえるような存在になりたい。まずはやれることを精いっぱいやっていきたい」と新たなスタートを切った。