ドジャース大谷翔平の元通訳で約26億円を大谷からだまし取った罪に問われている水原一平被告が米国現地6日に量刑を言い渡される。アメリカの法律に詳しい吉田大国際弁護士が6日、日本テレビ系「ミヤネ屋」(月~金曜後1・55)に出演し、異例とも言える検察側の厳しい求刑を解説した。
本来ならば、水原被告が罪を認めた時点で量刑ガイドラインは禁錮4年9ヵ月~5年11ヵ月。さらに司法取引に応じていることからガイドラインの下限からも刑期の短い禁錮刑になるのが一般的だ。しかし、検察の求刑は司法取引の効果がない禁錮4年9ヵ月でガイドライン通り。「反省するのではなく、盗んだことを正当化しようとしている」として水原被告の態度を強く批判した。
吉田弁護士は「大スターに対する大きな犯罪で、将来的な犯罪を抑制するという意味を込めたのではないか」とその意図を予測する一方で、「これまでは下限よりも軽くなるから司法取引をしようよとなっていたのが、あの件があるので…となりかねない」と今後の米国での裁判に影響を与えかねないことも示唆した。
水原被告の情状酌量を求める主張も、かなり首を傾げる内容だ。大谷をサポートしている時は毎日24時間待機している状態で「ひどい低賃金だと思った。自分や家族の人生を犠牲にしてきた」としたうえでトレーニング施設の予約、練習の撮影、自転車の修理、食料品の買い出し、郵便受けのチェック、岩手への帰省の同行などの項目を上げた。
これに検察側は反論。「2023年の年収は3800万円で、ポルシェも譲り受けていた。謝罪と真の反省を述べていない」と突き放した。また吉田弁護士は「昨年にはドジャースから倍の約7600万円、さらに大谷選手から別途マネージメント料も支払われていたことも検察は主張している」と付け加えた。
水原被告は「本の執筆、テレビやラジオでのインタビューやCM出演など金銭的に大きな助けになるオファーはあったが、大谷選手と彼の会社が断った」という副業を許されなかったことも明かしたが、こちらも検察側は「むしろ本の執筆やCMなどは大谷選手から受けるように勧められていたし、実際、本も一冊出しているではないか」と反論した。
さらに驚いたことに「18歳からギャンブルをはじめ、週4~5回カジノに通うほど重度なギャンブル依存症だった」という内容を水原被告が打ち明けたにもかかわらず、検察側は「水原被告が長年ギャンブル依存症だった証拠はない。全米30以上あるカジノを調査した結果、2008年に合法カジノで約3万円を使った記録が唯一の証拠」という調査結果も発表した。
吉田弁護士は「弁護士の仕事は目の前の事実を使って最大限の弁護をすること。逆に言えば、この程度の事実関係しかなかったということ」と話し、水原被告にとっては厳しい判決になる可能性が高いことを指摘した。なお、弁護側は「禁錮1年6ヵ月が妥当」と主張している。