アトランタ、バルセロナ五輪女子マラソン2大会連続メダリストの有森裕子さん(58)が、アテネ五輪女子マラソン金メダリスト・野口みずきさん(46)司会の東海テレビYouTube「野口みずきのランナーズハイ」に出演。岡山最弱ランナーと恩師・小出義雄氏(享年80)の出会いを明かして驚かせた。
陸上に関しては押しかけ入門の連続。高校は強豪・就実に一般試験で合格したが陸上部は門前払い。それでも1カ月間、顧問を追いかけ回し、仮入部では誰よりも真面目に練習に取り組み、正式入部を勝ち取った。
ところが高校では全国大会はおろか地方大会でも毎回予選落ち。
大学は陸上部顧問の「この子は伸びるであろう、運がよければ」という謎の推薦状で何とか日体大に拾ってもらった。
大学1年で3000メートルの関東インカレ2位という奇跡を起こすが、その後はケガで鳴かず飛ばず。それでも実業団ランナーを目指した。
押しかけたのがリクルート。当時会社の不祥事で選手が集まらず、「走れるなら誰でもいい」ような状況だった。
神戸のインターハイ会場で視察中のリクルート陸上部のコーチに自分を売り込み、その熱意が通じたのか勘違いしたのか何と小出義雄監督から直接連絡が来た。
「有森さんって知らないんだけど会えば思い出すかな?」という小出氏の言葉で、岡山から千葉・船橋まで乗り込んだ。
会うには会ったが、小出氏が思い出すはずもない。「国体は何位?」と聞かれて「これから頑張って出ます」と答える始末。インターハイも出ていない、他のスポーツ部の選手も出場していた都道府県駅伝も補欠だった。
「岡山で一番弱い選手だってバレた」
ただ、さすがは小出監督。有森さんの人間力を見抜いた。
「ここまで何もないのに、よくぞここまで走り続けてきたね。根拠のないやる気に僕はとっても興味がある」と監督裁量で入部を許された。
ここまで聞いた野口さんは「有森さんの行動力に驚かされました。こういう方が世界の上に行くんだなって」と、尊敬のまなざしを送った。