阪神・中野が、今季目標に掲げる「30盗塁」へ向け、この日から宜野座キャンプで指導を始めた盗塁王5度の赤星憲広臨時コーチから“金言”を授かった。
「“メンタル面”とおっしゃられた。自分自身も、チャレンジしにくいメンタルになっていた」
30盗塁でタイトルを獲得した1年目の21年をピークに、以降23、20、6と盗塁数は右肩下がり。特に昨季は13企図で実に失敗7度を数えた。キャリアに反比例する盗塁数とともに「アウトになってしまったら…」との考えが先行し、思い切ったスタートが切れなくなっていた。脚力も技術もあるのに走れない中野が赤星臨時コーチから説かれたのは、技術うんぬんではない。「積極的に仕掛けていけない」マイナス思考の払しょくだった。
この日、中野を含めた野手全員が参加した“赤星走塁塾”では、投球がショートバウンドになって捕手がはじいた場面を想定し、積極的に次の塁を狙う練習が行われた。盗塁とは関係のない単なる走塁練習…ではない。常に次の塁をうかがう積極性こそが盗塁時に必要な要素。「走塁をきっかけに、盗塁もできるようになるんじゃないか」。そう話した赤星臨時コーチは、中野が“復権”するために必要な条件も掲げた。
「シーズンが始まる前に、どれだけ成功例を出せるか。たくさん走って成功すれば、シーズンが始まる時にいい気持ちで入れる。盗塁王を獲った時の気持ち、感覚に戻る」
3月28日の開幕へ、今からの1カ月半が勝負。中野も「積極的にチャレンジしていきたい」と呼応した。昨季の猛虎に不足した「中野の盗塁」増が、得点力アップに直結する。(石崎 祥平)