今の君なら15勝できるよ。ソフトバンクのカーター・スチュワート投手(25)が6日、今春キャンプ2度目のブルペン入り。球団OBで臨時コーチのリック・バンデンハーク氏(39)から制球など投球内容だけでなく、立ち居振る舞いも絶賛された。同氏は17年に自己最多の13勝をマーク。自身を上回り、球団の外国人投手では3人目となる15勝到達も可能だと太鼓判を押された。
ブルペン内で大柄な2人はひときわ目を引いた。1メートル98のスチュワートと1メートル95のバンデンハーク氏。ハグをして再会を祝し、15分ほど語り合った。「久しぶりに会った。僕のルーティンを説明した後、これまでの取り組みを伝えた。何かうれしかった」とスチュワートは貴重な時間を喜んでいた。
今キャンプ2度目のブルペンで変化球を交えて35球を投じた。バンデンハーク氏はネット裏で捕手の後ろから熱視線を送った。19年にスチュワートが19歳で初来日した際、ソフトバンクで来日5年目だったバンデンハーク氏は日本の文化や礼儀の重要性、生活する上で大事な基本的なことを教えた。あれから6年――。25歳の見違える成長に驚きを隠せなかった。
「久しぶりにブルペンでの投球を見たんだ。立ち姿から自信を持っているし、いろんな球種全てでストライクが取れている。いいね。本当にびっくりだよ」
現在は欧州各国でMLB関連の仕事として選手発掘や育成を行っているオランダ出身のバンデンハーク氏。ソフトバンクには15年に加入し、20年まで在籍した。NPB通算43勝を挙げ、シーズン最多の勝利数は17年の13勝だった。有原、モイネロとともに開幕ローテーションが内定しているスチュワートが今季の目標を15勝と設定していることを伝え聞くと、何度もうなずいて言った。
「そうなんだ。15勝できると思いますよ。ボールだけではなく、彼は頭がいい投手。1軍の経験も増えているし。やってくれると思っています」
スチュワートは昨季は20試合に登板してキャリアハイの9勝をマークした。今季はバンデンハーク氏の13勝を超え、球団の外国人投手ではスタンカ(60年17勝、61年15勝、64年26勝)、ホールトン(11年19勝)に続く3人目の15勝を目指す。「合同で練習をしたことはないけど、僕が日本に来ていろいろなことを教えてもらったんだ。感謝しているし、続いていきたい」。決意を強くする恩人との再会となった。 (井上 満夫)