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水原一平被告 低賃金など訴えた判事への手紙は逆効果だった 判事「虚偽の説明と省略でいっぱい」

スポニチアネックス 2025年2月7日 13時27分

 米大リーグ、ドジャースの大谷翔平投手(30)の銀行口座から約1659万ドル(約25億3000万円)を盗み、違法スポーツ賭博の胴元に不正送金し、銀行詐欺罪などに問われた、大谷の元通訳水原一平被告(40)に対し、カリフォルニア州オレンジ郡サンタアナの連邦地裁は6日(日本時間7日)、禁錮4年9月、賠償金1700万ドル(約26億円)の量刑を言い渡した。

 禁錮4年9月に加え、3年間の保護観察処分、賠償金として1800万ドル以上を支払うよう命じられた。賠償金には大谷への約1700万ドル、国税庁へ100万ドル以上の罰金が含まれる。

 同被告は濃紺のスーツ姿で出廷。報道陣の問いかけに反応することなく、連邦地裁へと入った。量刑言い渡しに先立ち、水原被告は法廷で「大谷さんには、本当に申し訳ないことをしたと言いたい」と大谷やドジャースに謝罪。また、自身の経験を元にギャンブルで問題を抱える人を助けたいとも語り「自分のしたことを言い訳にしているわけではありません。自分の行動を正当化するつもりは一切ない。一人の人間として私を見ていただき、変化が起こりうると信じていただきたいのです」と述べた。そして「結果を受け入れる準備はできている」とした。

 水原被告は判決前には判事に向け、手紙で通訳として大谷のサポートに当たっていた当時を振り返り「ひどい低賃金だと思った。自分や家族の人生を犠牲にしてきた」などと説明。1月23日には書面で、通訳として大谷宅近くに住む必要があったことで出費がかさみ「やりくりの助け」になると考えスポーツ賭博を始めたとして、情状酌量を求め、量刑は禁錮1年6月が妥当と主張していた。

 しかし、ホルコム判事はこれを全面的に否定。スポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」はホルコム判事が法廷で水原被告に対して「虚偽の説明と省略でいっぱい。私は水原氏の手紙には何の信用も置いていません」と話したことを伝えた。また、「最も影響力のある法曹界のジャーナリスト」として知られるメーガン・カニフ記者もこの判事のコメントに自身のXで反応。「大谷翔平の元通訳である水原一平氏は、裁判官に手紙を書きましたが、その内容は彼の主張に全く役立つものではなかった」と手紙は逆効果だったと伝えた。

 ホルコム判事は、水原被告のフリードマン弁護士に大谷が通訳の家賃を支払い、定期的に5桁のチップを渡し、ポルシェを与え、彼と彼の妻が世界中を飛び回る費用を支払っていたことについて詰め寄ったことも「ジ・アスレチック」が報じた。

 裁判資料によると、水原被告は2021年11月ごろから昨年3月ごろにかけ、大谷の口座から約1659万ドルを盗み、違法賭博の胴元側に不正に送金した。野球カードの購入費や歯の治療費もこの口座から支払い、口座から得た金銭を課税所得として報告せず、虚偽の納税申告もした。

 スポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」の報道によると、水原被告が大谷の銀行口座から電話で送金手続きをする際、銀行側に「大谷翔平です」と述べ、送金理由は「車のローン」と回答したという。

 同連邦地検は禁錮4年9カ月と釈放後3年間の保護観察処分、大谷への約1700万ドル(約26億円)の賠償などを求刑。水原被告は司法取引に応じて罪を認めたうえで、事件は長年にわたるギャンブル依存によるものとし、過去の判例でギャンブル依存症によって罪を軽減された判例があるとして減刑を訴えていた。

 連邦地検は、水原被告が長年ギャンブル依存の状態だったという決定的な客観的証拠はないと結論付け、違法賭博で得た金を自身の銀行口座に入れていたことなどから犯罪の動機は金銭獲得に他ならないと判断。水原被告の預金口座には常に「かなりの残高」があったとし、23年3月には3万ドル(約458万円)以上、2024年3月には19万5000ドル(約2980万円)以上あったと指摘した。

 水原被告側が提出した書面についても「多くが証拠に基づいていない」と反論。「反省するのではなく、盗んだことを正当化しようとしている」として水原被告の態度を強く批判していた。

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