18年に亡くなった絵本作家のかこさとしさんの未発表原稿が5日に「くらげのパポちゃん」(講談社)として絵本化されたことを受け、刊行記念会見が7日、神奈川・藤沢市の加古総合研究所私設ギャラリーで行われた。
「だるまちゃん」シリーズや「からすのパンやさん」をはじめ、600冊以上の絵本を世に送り出した絵本界のレジェンド。新たに出版された「くらげのパポちゃん」は、戦争で死別した親子の思いをつなげようと、くらげが奮闘する物語だ。
原稿を発見したのは約4年前にさかのぼる。コロナ禍で外出できない時期に、長女の鈴木万里さん(67)が発見。普段は会社員として働く孫の中島加名さん(31)が絵を描き、絵本を完成させた。発見から4年、原稿執筆からは70年以上が経過しての出版に、鈴木さんは「いつか皆さんに読んで欲しいと思っていた」と喜んだ。
また、“絵本を一面的に書きたくない”という信念から、「戦争の本を作りたいが、なかなかできない」と話していたというかこさん。中島さんは「かこさとしの人生でできなかったこと、やりたかったことについては忘れたことはない」と話し、「70年以上前くらいに考えた物語を絵本という一つの形にすることができて良かったと思う」としみじみ語った。