ソフトバンクの東浜巨投手(34)が8日、今春キャンプ4度目となる投球練習を行い、改良中のチェンジアップを多投した。昨季よりも変化量が増して手応えは十分。中1日のペースでブルペン入りと充実した調整を続け、小久保裕紀監督(53)は仕上がりに高評価を与えた。開幕ローテーション争いは激しさを増す一方だが、ハイペース調整で残る枠をつかみ取りにいく。
東浜が同じ最年長34歳の又吉とともにブルペン入りすると、小久保監督は1球目から目を光らせた。92球を投じている最中、指揮官は捕手と同じ目線となる真後ろからもチェックして「あれは何を投げているんや?」と小声で聞いた。正体は昨季から取り入れたチェンジアップ。多投した東浜は進化に手応えをつかんでいた。
「しっかり変化が出るようなボールにはなっているかな。去年も投げていたけど、思うように投げきれなかった。取り組みは間違ってないかなと思います」
今春キャンプは中1日のペースでブルペンに入っている。前回6日は96球を投じた。充実ぶりにその表情は明るい。「直球は今日良かった。あとは対バッターに入ったときにどうなるか」。変化球もシンカー、カットボール、カーブに加えて、本格的に導入するチェンジアップも順調な仕上がりだ。小久保監督は「新しい球の変化量を見たけど、去年から良くなっている。この時期で出力は高いし、ペースを飛ばしていってほしいと思います」とハイペース調整を歓迎した。
昨季は開幕ローテーション入りを果たすも夏場に2軍落ちするなど、11試合に登板して3勝(2敗)に終わった。今季は選手としての分岐点となる勝負の13年目となるが、球団がオフに先発投手を中心に補強してライバルは多い。「アピールする立場に変わりはないですし、もうやるしかないと思っています」と腹をくくっている。
開幕ローテーションは有原、モイネロ、スチュワートが内定済みで、大関、新加入の上沢も有力。残る枠は1か2の状況だ。小久保監督は「枠は競争やし、少なくて狭いんでね」とあえてハッパをかける。
17年には16勝を挙げて最多勝のタイトルを獲得と実績は十分で意地もある。「自分自身にも期待して、いい年にしたいなと思います」。新たな武器を磨きながら飛ばせるだけ飛ばしていく。 (井上 満夫)
○…NPB統計・分析サイト「TSUBASA」によると、東浜の昨季の球種割合は
直球 37.4%
シンカー 23.0%
スライダー 19.8%
カットボール 8.6%
カーブ 8.4%
チェンジアップ 2.9%
6球種のうち最少の割合だったチェンジアップの信頼度が増せば、投球の幅は広がる。