◇紅白戦 白組6―3紅組(2025年2月8日 宜野湾)
DeNAの山本祐大捕手(26)が沖縄・宜野湾キャンプで今春初となった紅白戦に白組の「5番・DH」で先発出場。3回に左翼席後方の防球ネットに突き刺さる特大の“チーム1号”を運んだ。正捕手の座をつかんだ昨季はレギュラーシーズン終盤の9月に故障で離脱し、26年ぶりの日本一の輪の中に入れず。悔しい思いを胸に8年目に挑む男が、まずはバットで猛アピールした。
今年はシーズンの最後までチームに貢献する。そんな決意表明でもあった。2025年の実戦初スイング。山本が放った打球は強風にも乗って、左翼席後方の防球ネットに突き刺さった。「まさか自分が(今春の)チーム1号を打つなんて」と謙遜しつつ「しっかりとポイントで捉えることはできました」と手応えをにじませた。
土曜日で多くのファンが詰めかけた中で行われた今キャンプ初の紅白戦。最初の2回の打席は一度もバットを振ることなく四球を選んだ。快音を響かせたのは、3回無死一塁で巡った第2打席。森唯が投じた初球の直球を捉えた。
7年目の昨季は自己最多の108試合に出場して打率・291、5本塁打、37打点。だが、9月15日の広島戦で右手首に死球を受け右尺骨を骨折した。チームはリーグ3位から26年ぶりの日本一まで駆け上がったが、最後まで復帰することはできず。心の底から喜ぶことはできなかった。
現在も骨折箇所には約10センチの長さのプレートが埋め込まれ、骨を支えている。プレーには支障がなく、先輩の佐野に同行したオフの岡山・倉敷での自主トレでも周囲と同じメニューをこなした。20年に首位打者、22年には最多安打のタイトルを手にした佐野からは「ホームランになったスイングが、結果的にいいスイング」と助言も受け、現在はシンプルに飛ばすことを意識した打撃にも取り組む。「打てる捕手」が再出発のシーズンに向けて響かせた快音。三浦監督も「風がなくても入っていた」と目を細めた。
「これからは(実戦で)捕手にも入ります。“今年はやるぞ”という気持ちになっています」と山本。98年以来27年ぶりのリーグ優勝と2年連続日本一へ、今年は正捕手として完全燃焼してみせる。 (大木 穂高)