◇第59回NFLスーパーボウル チーフス(AFC) ― イーグルス(NFC)(2025年2月9日 ルイアジアナ州ニューオーリンズ シーザース・スーパードーム)
米プロフットボールNFLの王座決定戦、スーパーボウルは米国東部時間9日午後6時30分(日本時間10日午前8時30分)、ニューオーリンズでキックオフを迎える。史上初のスーパーボウル3連覇に挑むAFC代表のカンザスシティー・チーフスと、7季ぶり2度目の頂点を狙うNFC代表のフィラデルフィア・イーグルスの顔合わせは2年前と同じ。アリゾナ州グレンデールで行われた前回は、試合終了8秒前にKバトカーが決勝FGを決めたチーフスが38ー35で激闘を制した。
<初のV3挑戦>過去2連覇したのはパッカーズ、ドルフィンズ、スティーラーズ(2回)、49ers、カウボーイズ、ブロンコス、ペイトリオッツ、チーフスの8チーム。しかし、2連覇の翌年もスーパーボウルまで駒を進めたのはチーフスが初めてだ。他の北米プロスポーツで最後に3連覇を果たしたチームは00~02年のNBAレイカーズ。MLBはヤンキースが98~00年に3連覇、NHLはアイランダーズが80~83年に4連覇を達成した。
<今季の両軍>レギュラーシーズンのチーフスは攻撃がリーグ17位(パス14位、ラン22位)、守備が9位(パス18位、ラン8位)ながら、リーグトップタイの15勝2敗でAFCの第1シードを獲得した。名将リード・ヘッドコーチの下、とにかく接戦に強く、7点(1TD)差以内の試合は15連勝中。ここ6年でスーパーボウル出場は5度目と経験値でも上回る。
一方、レギュラシーズン14勝3敗でNFC第2シードのイーグルスは、攻撃が8位(パス29位、ラン2位)、今季テコ入れした守備はリーグ1位(パス1位、ラン10位)といずれもチーフスより上。ポストシーズン3試合でも盤石の試合運びを見せており、2年前よりも明らかに強い。
<チーフス>3連覇の主役はやはり、スーパーボウルで過去3度MVPに輝いた現役最高の司令塔、29歳のQBパトリック・マホームズだ。今季はレギュラーシーズンのQBレーティングこそリーグ8位の67.7にとどまったが、ポストシーズンは3位の79.4にアップ。第3ダウン時のレーティングは1位の90で、ポストシーズンは98にまではね上がり、持ち味のスクランブルも含めて勝負どころで判断を間違えない。ホットラインを形成するTEケルシーや、シーズン終盤に存在感を増した新人WRワージーらパスターゲットも多彩で、パス守備1位のイーグルス相手にどのように攻めるかが注目される。
<イーグルス>V3阻止の鍵を握るのが、今季ジャイアンツから加入してランで計2005ヤードを獲得し、史上9人目の年間2000ヤードラッシャーとなった27歳のRBバークリーだ。スピードと身体能力を生かした力強いランで試合の流れを一変させるロングゲインも多く、シーズン5戦目からバークリーが攻撃の中心に据えたチームは15勝1敗の快進撃でスーパーボウル出場を決めた。フィジカルの強いQBハーツもランが得意で、QBとしてポストシーズン最多記録の9TDランをマーク。一方でドロップバック時の被サック率が9.4%と高く、チーフスDTジョーンズらのプレッシャーを受けながら、WRのブラウンとスミス、TEゴーダートへ正確なパスを通せるかどうか。
<ピッチ外>トランプ米大統領が現職として初めて生観戦する。トランプ氏は大統領選の際、民主党支持者でチーフスTEケルシーと交際中のシンガー・ソングライター、テイラー・スウィフトを批判しており、2人のアクションは話題を集めそうだ。ハーフタイムショーは「Not Like Us」の最優秀楽曲賞などグラミー賞5部門で受賞したばかりのラッパー、ケンドリック・ラマーがパフォーマンスを披露する。