ネットサイト「ザ・スコア」のトラビス・ソーチック記者が8日、メッツやドジャースと対照的に、このオフのストーブリーグで敗者となったチームを挙げた。その中には、日本人選手所属のチームが4球団も含まれている。
まずは3月に東京でドジャースとの開幕戦を控える、今永昇太と鈴木誠也のカブス。スター外野手のカイル・タッカーをトレードで獲得したが、1年限りのレンタルの可能性が高い。一方で、コディ・ベリンジャー外野手をヤンキースへ放出してしまった。また、リリーフ投手のライアン・プレスリーを獲得したが、成績は下降傾向にある。球団の限られた補強資金を適切に使えたのかどうかは疑問だ。さらに、先発投手マシュー・ボイドは昨季後半に好成績を収めたものの、ケガのリスクが高い。現在、カブスはデータサイト「ファングラフス」の予想勝利数でナ・リーグ中地区トップの84勝だが、最下位レッズの78勝との差は6勝。もっと補強すべきだった。
菅野智之のオリオールズも、例年よりは活発に動いたものの、複数年契約を結んだ選手はタイラー・オニール外野手一人だけ。エースのコービン・バーンズをFAで失ったが、代わりになる投手を獲得していない。先発ローテーションはザック・エフリン、グレイソン・ロドリゲス、チャーリー・モートン、ディーン・クレーマー、菅野と必ずしも強力ではない。ワールドシリーズ制覇どころか、地区優勝も難しいかもしれない。ただし、オリオールズは豊富なプロスペクト(若手有望株)を抱えており、バーンズを獲得した昨年のようにシーズン中のトレードで補強する可能性はある。
藤浪晋太郎をマイナー契約で獲得したマリナーズも、良い補強ができなかった。強みはジョージ・カービー、ブライス・ミラー、ブライアン・ウーといった若手先発投手陣。しかし、問題は打線だ。昨季、OPS.700以上を記録した選手は、400打席以上の打席数を持つ選手の中で3人。得点数はMLB全体で21位と低迷した。それなのに、このオフに補強したのはホルヘ・ポランコとドノバン・ソラーノの野手2人だけだった。
ダルビッシュ有、松井裕樹のパドレスも補強ができなかった。故ピーター・サイドラー・オーナーはビッグマーケット球団並みの積極補強を進めたが、彼の死後、球団内でお家騒動が起き、支出が抑制。さらに、地元テレビ局との20億ドル規模の放映契約を失ったことも痛手だ。もともとスター選手に依存した編成だったが、現在は年俸削減を進めており、ディラン・シーズやマイケル・キングといった主力投手のトレードも検討されている。
スモールマーケット球団がドジャースに挑むという物語は多くのファンにとって魅力的だったが、そのドラマが今、消えかけている。