◇カーリング日本選手権最終日(2025年2月9日 神奈川・横浜BUNTAI)
男子決勝が行われ、SC軽井沢クがロコ・ソラーレを7―5で下し、2年ぶり3度目の優勝を飾った。SC軽井沢クは9月に行われる予定の26年ミラノ・コルティナ五輪代表候補決定戦への出場が決定。日本勢として2大会ぶり3度目の五輪を懸けて、前年優勝のコンサドーレと対戦する。
最後はメジャー計測の末に「1ミリはあると思う。でも多分ちょっとの差だと思う」(スキップ山口)というミリ勝負を制すと、フォース柳沢はその場で泣き崩れ、山口やリード小泉は喜びを爆発させた。SC軽井沢クが天国か地獄かの大一番で劇的勝利。4人で唯一、五輪を経験している山口は「ファイヤーしました!言葉にするなら“信じられない”」と感情を爆発させた。
前半5エンド(E)を終えて3―4。追う展開だったが、ハーフタイム山口は「全然悪くないね」と声を掛けた。2点を追う第7Eに柳沢の最終投で2点を取って追い付くと、いずれも不利な先攻だった第9、10Eに1点ずつ重ねた。最後まで手に汗握る展開に、柳沢は「もうちょっと(相手に)プレッシャーをかけられた部分もあった」と反省も、山口は「全員を褒めたい」と称えた。
シーズン中に下した大きな決断が実を結んだ。昨秋行った約3カ月のカナダ遠征。思うような結果を残せず、ミーティングでは「ショットが悪い」「作戦が悪い」などと責任をなすりつけ合い、最悪の雰囲気になった。流れを変えようと、遠征最後の試合でスキップを柳沢から山口に変更。負担から解放された柳沢はフォースの仕事に徹してショットの精度が増し、この日も重要なドローに次々と成功。山口も「本来の精度を今日も出してくれた。いい感じでできている」と振り返った。
18年平昌五輪、地元韓国との対戦で「韓国への応援でメンタルがおかしくなった」という経験を持つ山口にとって、苦い思い出を注ぐには再び同じ舞台に立つしかない。コンサドーレが待つ五輪代表候補決定戦へ、「40歳はカーリング界ではそこまで高くない。まだまだファイヤーしていきたいと思う」と血気盛んだった。