脚本家の三谷幸喜氏(63)が主宰する劇団「東京サンシャインボーイズ」の復活公演「蒙古が襲来」が9日、東京・渋谷のPARCO劇場で開演。初回公演前に、三谷氏が見どころを語った。
「僕らにとっても冒険」と三谷氏。「東京サンシャインボーイズ」の“大航海”が新たに始まる。
1983年に結成し、94年に“30年の充電”を決断。2025年、冗談交じりだった「30年後に再結成する」という宣言を実現した。
作品の舞台は、対馬の漁村の賑やかな“何もない普通の朝”。蒙古襲来が間近に迫っている、田舎の日常生活を描く。
既存の形での制作も可能だったが、「新しいものを作りたい」という三谷の考えで「みんなも(昔より)30年…。歳を取っているので、以前のようなパワーはありませんが、経験の蓄積がある。そこで、昔やったことのない、新しい台本で芝居を作りました」とコメディータッチな時代劇に挑む。
昔と変わらない関係性で、和気あいあいとした現場。この日も、ステージ中央でマイクを握る三谷氏と、それを囲む劇団員の笑顔が印象的だった。
三谷氏も昔と変わらない熱量で執筆、稽古に臨んでいるようだが「いろんな意味で老化が如実に出ている」と本音も。稽古開始の声かけがかかるも実際にスタートするまで「15分ぐらいかかる。みんな移動が遅い。着いてからもダラダラ、健康の事とか…」と明かし、会場の笑いを誘った。
見どころは、劇団員の豊富な経験と培った高い演技力だという。「30年、よくみんな現役の俳優さんとして頑張ってきたと思っております。みんな、よく生きてましたね」と劇団員の顔を見渡し、「一人死んじゃったんですけど…伊藤俊人くん。20年前に亡くなりましたが、彼も声の出演があります」と三谷氏。2002年5月24日にくも膜下出血のため他界した名脇役・伊藤俊人さんとの共演にも注目だ。
30年の“充電”を終え、エネルギッシュな新しい劇団の姿を見ることができる復活公演。「楽しんで頂けると思う」。三谷氏の目は自信にあふれていた。