◇紅白戦 白組4―3紅組(2025年2月9日 天福)
広島は9日、宮崎・日南春季キャンプで初の紅白戦を実施。白組の5番・サードで先発した内田湘大内野手(20)が、師事するカブス・鈴木誠也外野手(30)直伝の豪打を披露した。1点を追う4回に走者を一掃する逆転の左越え3点二塁打を放つと、7回にも左翼線へライナーを運んだ。台頭が望まれて久しい右の強打者。成長曲線を描く若ゴイが強打で師匠を追う。
放物線を描いた大飛球は左翼を守る林の頭上を越えていった。1点を追う4回2死満塁の好機で、白組の5番・サードで先発した内田が走者を一掃する逆転の3点二塁打。狭めたスタンスから、紅組の3番手・森浦の2球目を振り抜いた。
「初球を空振りしてしまいましたが、2球目をしっかり入っていけたのは良かった。小園さんからサードを取ってやるという気持ちでいきました」
師事する鈴木直伝の豪打を披露し、ポジション争いのライバルとなる先輩の名前を挙げてはにかむ20歳。1点リードの7回2死一塁の場面でも、5番手・松本の2球目を鋭いスイングで捉え、ライナーで左翼線へ運んだ。鮮やかだった。
「しっかり設定し、真っすぐを一発で捉えられた。自主トレからやってきたことが結果に表れたと思います」
新春は、広島OBの鈴木の沖縄自主トレに2年連続で参加。師匠の助言をもとに、スタンス幅を狭める打撃フォームに改造した。「タイミングを取るのが苦手なので、狭めて(振りに)いくだけにしています」。堂々の2安打3打点。誠也効果だった。
「打つ方では湘大がいいものを見せてくれた。いいスイングだった」。新井監督は絶賛する。群馬・利根商から22年ドラフト2位で入団。指名に際しては指揮官の猛プッシュがあった。同じ右打ち内野手の映像を数多く見た中で、真っ先に推薦したのが内田だ。
「初球から振れる。空振りを恐れない。でも、彼の一番いいところは練習すること。練習で自分を追い込むことができる。これって誠也にも共通する。大切な才能だと思う」
2軍の由宇球場で試合がある日は、早朝5時半から練習を開始。実際、自主トレで寝食を共にした鈴木も「本当によく練習しますよ。楽しみです」と証言するほどだ。
「守備で課題(2失策)が見つかったので、そこは練習。(定位置争いは)横一線と言われているので、結果を残して(奪い)取りたいと思います」
高卒3年目にブレークした師匠と同じ3年目。同じスター街道を歩むことができるか、猛練習する20歳への期待が膨らむ。 (江尾 卓也)