第97回選抜高校野球大会(3月18日から甲子園)で連覇を狙う健大高崎(群馬)は10日、千葉県館山市内での合宿で大会メンバーの最終候補25人を決定した。
昨年選抜で5試合計22回無失点に抑えて優勝に貢献し、昨夏に左肘内側側副じん帯再建術(通称トミー・ジョン手術)を受けた左腕・佐藤龍月(りゅうが=2年)は代打枠で残り「しっかり結果を出して最終的にベンチに入りたい」と見据えた。最終20人は大会直前の3月に決まる。
館山合宿2度目の紅白戦を終えた後、ネット裏にナインが集合。青柳博文監督が選抜に向け、調整に励む25人の名前をポジション順に読み上げた。
「投手、石垣元気、下重賢慎…」。そして、最終ポジションの右翼手2人目は「佐伯幸大」が読み上げられた。野手として選抜のメンバー入りを狙う佐藤龍月は呼ばれず…そう思えた刹那、「代打枠で…佐藤龍月」と25人目の名が呼ばれた。
「代打」の最終候補に滑り込んだ。前日9日の紅白戦では昨夏の群馬大会以来の実戦となる代打出場で右前打を放ち、先頭打者として迎えた9回は四球で出塁し、サヨナラのホームを踏んだ。さらにこの日は主力A組の「9番・指名打者」で出場し、4打数2安打1打点1盗塁。8回の最終打席はエースの最速158キロ右腕・石垣元気(2年)と対決し、右前に適時打をマーク。猛アピールに成功し、青柳監督は「この合宿でバットが振れていましたね。打者としての存在感がある。医師からも打撃、走塁に関しては(手術を受けた左肘に)問題ないと言われています。甲子園のここ一番の場面で代打で使えるかもしれない」と高評価。攻撃オプションの1人として最終候補に名を連ねた。
甲子園への帰還に差し込んだ光明。それでも佐藤は「現時点ではメンバーに入れない。まだまだ(アピール)機会はあるので、そこに向けて頑張りたい」と表情を緩めなかった。
「今までは自分がチームを引っ張る気持ちが強かったんですけど、春はみんなをサポートできる選手になりたい。無理しないっていうのは大前提。最終的にはベンチに入りたいので結果を出したいと思います」
昨年12月にリハビリのためのスローを再開するなどトミー・ジョン手術のリハビリは順調で、投手としての本格復帰は6月の見込み。選抜で野手としてベンチ入りを果たせば、甲子園を誰よりも知る男がリアルタイムでナインに経験を伝えることも可能だ。
聖地に「代打、佐藤龍月くん」のアナウンスは響くのか。残り約1カ月、佐藤がバットで勝負する。
◇佐藤 龍月(さとう・りゅうが)2007年(平19)7月13日生まれ、川崎市出身の17歳。下小田中小1年から陣屋少年野球部で野球を始め、西中原中では東京城南ボーイズに所属し、U―15侍ジャパンに選出。憧れの選手はドジャース・大谷。好きな芸能人は今田美桜。1メートル74、73キロ。左投げ左打ち。