NHKは10日、「ニュース7」で、同局が一昨年10月のニュースで報じた「2002年秋に故ジャニー喜多川氏にNHK放送センターのトイレの個室に呼び出され被害に遭った」という男性の証言について、時期を“訂正”し「より慎重な伝え方が必要だった」などと釈明した。
この日、故ジャニー喜多川氏の性加害問題で補償を進めている旧ジャニーズ事務所(SMILE-UP.)がNHKのトイレ内で性被害に遭ったと補償を求めた男性に対して、SMILE-UP.社が補償金を支払う義務がないと訴えた裁判の第1回口頭弁論が千葉地裁で開かれ、男性側が争わない姿勢を示し裁判は終結した。
訴状によると、男性は2002年ごろ、東京・渋谷のNHK放送センターで行われたレッスン中に故ジャニー喜多川氏に呼び出されてトイレの個室で被害に遭ったと主張。一方、SMILE-UP.社側は、男性と補償をめぐって協議を進める中で、被害の時期についての説明を変遷させるなどしたことで「申告に信用性が認められない」としていた。
NHKはこの日、裁判の終結を報道した後、「男性の代理人によると、被害の時期として申告した2002年のその日は、喜多川氏が海外に渡航中だったと会社側が主張しているほか、男性がNHKを訪れたことを知る関係者の証言などから、被害を受けた時期は2001年だった可能性があるということ」と伝えた。
そして「NHKは、おととし10月のニュースで2002年秋に被害に遭ったという男性の証言をお伝えしました」と説明。続けて「20年余り前の性被害についての証言であり、人権に配慮しながら確認を進め、証言が一貫していることや元所属タレントや番組の関係者などの話と当時の状況が一致していることなどから、被害があったことの信ぴょう性は変わらないと判断しています」とした。
「時期についてはSMILEーUP.側の主張やその後の取材などを踏まえると、より慎重な伝え方が必要だったと考えています」と時期について“訂正”した後で「NHKは今後もあらゆる取材において、確認を徹底していきます」と締めくくった。