【2・14開幕 J俺の推しテン8】自らの価値を再び証明する一年になる。昨季リーグMVPを獲得した神戸FW武藤嘉紀は言葉に力を込める。「Jリーグを盛り上げるために、ゴールとアシストを積み上げていきたい。3連覇を狙って熱い試合を続け、最終的に素晴らしい景色が見られればいい」。“Jリーグの顔”としての自覚をにじませた。
昨年オフ、名古屋から破格の年俸3億5000万円オファーが届いた。金額提示は神戸を上回っていた。だが熟考の末、「アジア・チャンピオンズリーグのタイトルをまだ獲れていない。そこは自分自身でも歯がゆい気持ちがある」と高いレベルでの戦いを渇望。加えて「多忙な中で2度、3度とお時間をつくっていただき、お話も直接していただきビジョンや熱い気持ちに心が動かされました。全てささげる気持ちになりました」と三木谷浩史会長の慰留にも感謝。お金では買えないものが決め手となった。
「日本代表へ選出していただけるならば、それほど喜ばしいことはない。でも、やらなきゃいけないことはチームで結果を出し続けること。その先に代表やW杯がある」。昨年終盤からは低酸素マスクをつけて心肺機能向上の練習も始めた。まず狙うは史上2クラブ目の3連覇であり、クラブ初のアジア制覇、そして史上初の2年連続MVPだ。けん引役として、国内サッカーを盛り上げていく。 (飯間 健)
◇武藤 嘉紀(むとう・よしのり)1992年(平4)7月15日生まれ、東京都世田谷区出身の32歳。慶大から14年にFC東京入団。マインツ(ドイツ)やニューカッスル(イングランド)などを経て21年8月に神戸に完全移籍。J1通算162試合出場57得点。日本代表として国際Aマッチ通算29試合3得点。18年W杯ロシア大会出場。1メートル79、72キロ。利き足は右。