名古屋は11日、FC東京に所属し昨季限りで引退を表明していたGK児玉剛(37)を獲得すると発表した。1月12日に自身のSNSで引退表明していたが、わずか1カ月で異例の現役復帰。名古屋を通じ「まだ価値を見いだしてくれたこのクラブに感謝し、持てる力を全て注ぎ込む覚悟です」と意気込みを口にした。
今オフにベルギー1部ヘントから元日本代表GKシュミット・ダニエル(33)を獲得したが、沖縄合宿中に右膝内側半月板を損傷。長期離脱となり計算できるGK獲得が急務となっていた。シュートストップと積極的な飛び出しが特長の児玉は、家族ら周囲にも引退を伝えていたが「多くの方が“まだできる”と言ってくれていた。その方のためにも見せていきたい」ときっぱり。背番号は過去につけた30と1を足した「31」。プロ16年目へ「ここから思いを込めていきます」と笑った。
日本ではジーコがJリーグ参入を表明していた当時の住友金属(現鹿島)に入団して現役復帰。海外では元オランダ代表MFロッベンや元イングランド代表MFスコールズらが引退を撤回した例はあるが、日本人では異例中の異例だ。偉大なレジェンドたちに負けじと、児玉が窮地の名古屋を救う。
◇児玉 剛(こだま・つよし)1987年(昭62)12月28日生まれ、大阪府吹田市出身の37歳。関大から10年に京都入り。J2愛媛やJ2山形などを経て19年にFC東京に完全移籍。J1通算9試合、J2通算179試合出場。1メートル83、83キロ。利き足は右。
≪一度引退後に現役復帰した主な選手≫
☆MFジーコ(フラメンゴ→住友金属) 89年にブラジルで一度引退。91年に日本リーグ2部の住友金属(現鹿島)入りし、得点王を獲得した。93年のJリーグ開幕後も同年前期優勝の立役者となった。
☆MFスコールズ(マンチェスターU) 11年の引退後はリザーブチームのコーチを務めていたが、故障者続出の状況から半年後に現役復帰。
☆FWロッベン(Bミュンヘン→フローニンゲン) 19年に引退したが、経営危機に陥っている古巣を救うため1年後に現役復帰。6試合に出場し、再び引退を発表した。
☆GKシュチェンスニ(ユベントス→バルセロナ) 24年8月に現役引退も、バルセロナがGKテアステーゲンの長期離脱を受けて現役復帰を要請。同年10月に加入し、今季公式戦は9試合に出場している。