◇練習試合 楽天4―6日本ハム(2025年2月11日 金武)
いきなりのマルチデビューだ。楽天のドラフト1位・宗山塁内野手(21=明大)が11日、12球団のトップを切った対外試合の練習試合・日本ハム戦(金武)に「1番・遊撃」で出場。初回、第1打席のファーストスイングで初安打となる中前打を放つなど、2安打2得点1四球1盗塁で全3打席出塁と躍動した。背番号「1」の注目新人は、遊撃守備でも華麗な動きを披露。上々の実戦デビューだった。
落ち着き払っていた。初球、高めの直球を平然と見逃してストライク。宗山は悠然と構え直すと、2球目の同じ高めの134キロの直球をコンパクトに振り抜いた。中前に抜ける対外試合初安打。6457人の観衆から大きな歓声と拍手が起こった。
「詰まって、少し差されてのヒットだったけど、いい入りができた」
初回。1年目の左打者が、初見だった左腕・根本を冷静に攻略した。5回はザバラに対し、カウント3―1から低めの150キロ直球を遊撃強襲安打。いずれもファーストスイングだった。ふた振りでのマルチ安打も「ファウルにせずにしっかり前に飛ばしてヒットというのは良かった。長打になっていけばベストだし、捉えていく確率は上げていかないといけない」と浮ついたところさえなかった。
足でも魅せた。3回1死から四球で出塁。続く小深田の3球目にスタートを切って二盗に成功した。東京六大学リーグでは4年間で通算7盗塁も「いけたら積極的にいこうと、思い切っていきました」とこちらも一発で初盗塁を決めた。遊撃では4回1死一、二塁で代打・石井の遊ゴロを素早く二塁・小深田にトスし併殺を完成。5回にも2個のゴロを処理して正確なスローイングでアウトにするなど、3度の守備機会を危なげなくこなした。
昨秋のドラフト会議で5球団が競合した「20年に一人の遊撃手」と称される逸材。1位指名しながら交渉権を逃した日本ハム・新庄監督も「いいっすね。力感がなく、自分のポイントまで持ってきてインパクトだけバチンって。流れで打ってないところは素晴らしい」と称賛した。
初めての対外試合で能力の高さを披露したが、試合前は新人らしいハプニングもあった。通常練習と試合前練習のタイムスケジュールを勘違い。早めにフリー打撃の準備をしたが、逆になかなか順番が回らず時間を持て余した。「そこも学べたので次はもっといい準備をしたい」。初々しいドタバタぶりを試合ではまったく見せないのは、並の新人とは違っていた。
注目の中で結果を残した上々のデビュー。「開幕がピークに持っていくところ。そこに向けてやっていければ」。宗山が高い目標へ着実にスタートを切った。(花里 雄太)
▼楽天・三木監督(デビュー戦で躍動した宗山について) 練習と試合があまり変わらない。練習していることをしっかり試合で表現できる能力は高い。
≪開幕スタメン&球団初の新人初安打なるか≫昨年、新人の開幕戦スタメンは佐々木(巨)、度会、石上(ともにD)と3人が名を連ねた。楽天では13年則本(投)、16年茂木(遊)、22年安田(捕)と過去3人。茂木は6番に座り4打数無安打、安田は8番で3打数無安打に終わっており、新人の安打はまだない。
【宗山の父・伸吉さん 広島県三次市の自宅で】
――初実戦で2安打1盗塁の活躍。
「ファーストスイングで仕留められたのは良かった。まだまだ始まったばかり、これからです」
――緊張は感じたか。
「緊張はあまり感じなかったですね。いつも通りやっていたかなと思います」
――連絡は。
「キャンプが始まってからは取ってないですね。昔からあまり連絡はないですね。メディアの皆さんの報道で近況を知るぐらいです」
――今後に向けて。
「勉強することはたくさんあるので一つ一つ覚えていってほしい。実戦が始まって結果も大事ですが、ケガなく1年間通してやってほしいですね」