MLBは昨シーズン、121億ドル(約1兆8000億円)と過去最高の収益を記録した。もうかれば頑張った選手たちに還元するのが当然だろう。しかしながら、データサイト「ファングラフス」の推計によると、25年シーズンに向けて15球団が24年シーズン終了時よりも年俸総額を削減している。13球団は増額したが、ブルワーズとレイズの2球団は横ばいだ。
とりわけひどいのは、昨季の年俸総額がアスレチックスに次いでリーグ2番目に低かったピッツバーグ・パイレーツ。5%の削減に、地元ファンは怒っている。看板選手のポール・スキーンズ投手は23年のドラフトトップ指名で、24年に新人王を獲得した。球団は昨季、意図的にデビューを5月11日に遅らせたが、好成績でサイ・ヤング賞のファイナリストにも選ばれたため、シーズン後に規則に基づき1年分のサービスタイムを獲得した。結果、FAまであと5シーズンとなった。
パイレーツはスキーンズがいる間に真剣に優勝を狙うべきだ。現在、チームには他にもジャレッド・ジョーンズやミッチ・ケラーといった若手の好投手がいる。トッププロスペクトのババ・チャンドラーもいる。昨年、得点でランキング24位だった打線を改善するための補強をすべきだ。しかしながらトレードで獲得したのはスペンサー・ホーウィッツ内野手だけ。右投げ左打ちのホーウィッツは有望な若手だが、併用型でゲームを変えるようなパワーはない。昨季は12本塁打で長打率は.433だった。
他に、アンドリュー・マッカチェンと1年500万ドル、トミー・ファムと1年402万5000ドル、アダム・フレイジャーと1年152万5000ドルで契約したが、打線の向上につながるとは思えない。ピッツバーグのファンは、ボブ・ナッティング・オーナーが球団を売却することを望んでいる。ネットサイト「ブリーチャーリポート」のザカリー・ライマー記者は「ナッティングの純資産が数十億ドルであることを考えると、言い訳が難しい。オーナーはパイレーツを自らの誇りであり喜びのように扱うべきだが、フリーエージェンシーでの支出はせず、その他の面でもすべてにおいてケチっている。ファンが彼に売却を望むのは正当です」と報じている。
ドジャースは巨額の補強で「悪の帝国」呼ばわりされているが、勝とうとしないオーナーの方が明らかに問題なのである。