村上のホワイトソックス入りが決まり、低迷するホ軍ファンも左の強打者補強を歓迎。村上獲得の狙いや、球団事情、活躍の秘訣(ひけつ)などを地元紙のホ軍番記者が分析した。
≪シカゴ・トリビューン ラモンド・ポープ記者≫ホワイトソックスにとって明らかに大きな出来事だ。ここ数年、ずっとパワーを求めてきたし、実際に必要だった。彼の実績を考えれば、本当に良い補強になる可能性がある。
2年契約は、彼にとっては大リーグで自分が何をできるのかを証明する機会。一方でホ軍も、2年間で彼が打線の中でどういう存在になるのかを見極めることができる。そういう意味ではウィンウィンの契約だと思う。彼にとっては、まずここメジャーリーグで自分を確立しなければならないし、もし大きな成功を収めれば、2年後には28歳シーズンになって、再び市場に出ることができる。長い人生の観点から見ても、彼にとって良いことだと思う。
昨季は本塁打数がメジャー23位。村上がこの若いグループに加わり、共に成長していくことになる。多くの報道では村上が一塁を守ると言われている。それは非常に良い形になる可能性がある。村上は4番、5番、あるいは6番という位置も考えられる。彼がもたらすもう一つの大きな価値は、パワーだけでなく左の長距離砲である点。これまでの打線は右打者に偏っていた。マイドロス、ロベルト、バルガスはいずれも右打ち。打線のバランスを取ることができる。その点も含めて、打順で重要な役割を担う可能性がある。
≪マーキー・スポーツネットワーク ブルース・ラバイン記者≫ホ軍ファンは、野球をよく理解している一方で、決して忍耐強いわけではない。チームは3年連続で100敗以上。堪忍袋の緒はすでに切れている。観客動員数も90年代後半以来の最低水準まで落ち込んだ。村上がファンの心をつかむためには、打撃で好スタートを切る必要がある。
好材料は本拠地ギャランティードレート・フィールドの存在だ。フェンスの高さは約2メートル40センチと低く、パワーヒッターに有利。多くのスカウトは村上が30~40本塁打を放つ可能性があるとみており、打順は3~5番の中軸を任されるだろう。ウィル・ベナブル監督の存在もプラス材料だ。父は元メジャーリーガーのマックス・ベナブルで、12年間のMLBキャリアを終えた後、92、93年はロッテで「マックス」の登録名でプレーし、家族は日本で生活していた。その経験から、ベナブル監督は大学時代、日米の文化的違いをテーマに卒業論文を書いている。村上の良き理解者となるはずだ。
ホ軍ファンは、日本選手に好印象を持っている。05年、88年ぶりの世界一をもたらした井口資仁と高津臣吾は、今も街の英雄だ。そのため、村上も温かく迎えられるはず。まだプレーオフ争いが期待されていないチームであることも、過度なプレッシャーを和らげる要因となる。