[スポーツソウルドットコム|オ・セフン記者] こんなに賢い女性歌手がまたいるか。実力は言うまでもなく、若い年にも曲の理解力とセンス、表現力は舌を巻くほど。歌手IU(21、実名:イ・ジウン)の歌を聞いていると、思わず膝を打つようになる。きっと音楽の神か、歌のモンスターかのとちらだ。
IUは16日午前0時、リメイクアルバム「花のしおり」を発表した。同アルバムには、韓国人が愛する珠玉の名曲が再解釈されて盛り込まれている。リード曲『私の昔話』は、公開と同時に韓国主要音源チャートを席巻した。また、収録曲すべてを音源チャートのベスト10入りに成功させ、名実共に“音源強者”の面貌をもう一度証明した。
いつの間にかIUは、「信じて聞くミュージシャン」に成長したのだ。“国民の妹”、“3段ブースター”などのニックネームまで持つ認知度に加え、作詞・作曲、ギター演奏など様々な面で完璧な姿を見せる。ギターを弾きながら口ずさむように出す低音、リズミカルなグルーブ、耳にすらすらと入ってくる高音。彼女の成長は予測不可能だ。同年代の歌手の中で断トツと言えるだろう。ルックスも絶頂に達した。これまでは妹のような純粋さで30・40代の“おじさん”の絶対的な支持を受けたのに、今は、現し始めたセクシーさで同年代の男性ファンも惹きつけている。
歌謡界を見つめる識見と曲の選択能力も素晴らしい。IUがセウォル号の惨事まで予見したとは思えないが、国民的な悲しみの後に新たに発表した曲が、過去を思い出を刺激する“郷愁”に満ちている。疲れた人々には昔の時間を思いながら気を取り直す余裕を与え、10代の若者には知らない名曲を新たに触れる機会になった。アルバム表紙の字体と黄色のワンピース、髪型、小物などのコンセプトは、IUの今回の音楽と一脈通じる。アルバム全体をカバーする企画力まで窺えるところだ。
IUの所属事務所の関係者は「事務所との会議を経て、IUが直接決めたコンセプトと曲でアルバムが制作された」とし、「大先輩との作業も彼女が直接関与した。直接先輩のところを訪ねて、話し合った後に曲が誕生した」と説明した。
リメイクアルバム「花のしおり」は、1984年から1996年の間に発表された曲で構成された。IUが生まれるずっと前に発表された曲で、自身の年より二倍も多い先輩たちが歌った名曲だ。
IUは原曲を毀損しない範囲内で、自身の色で曲に“もう一つ”の生命力を吹き込んだ。彼女は“リメイク曲は、原曲者のバージョンが最高”という固定観念を破り、4分余りのランニングタイムで“IU”という歌手を思い出させることに成功した。
数多くの歌手たちが名曲の持つ認知度に便乗しようとしたリメイクとは、その質が違う。
アルバムのクオリティは原曲を歌った歌手たちの反応でもその高さが分かる。IUと『ピエロは私たち見て笑う』で息を合わせた歌手キム・ワンソンは、「曲がとても良くて、びっくりした。想像できないほどよくできた」と絶賛した。キム・チャンワンも「本当にお上手だ」と親指を立てた。彼はIUのために、曲の全般に流れる感性デザインからフィーチャリング参加まで直接準備した。
IUは“アイドル”から公演型歌手・ミュージシャンとして、生まれ変わるために、一歩一歩と段階を踏んで進んでいる。IUの20代半ばから後半、そして30代と40代がさらに期待される理由がここにある。
IUは22日から6月1日までソウル西江大学のメリーホールで全8回に渡って単独コンサート「IU小劇場コンサート: たった一歩、その分だけもっと」を開き、ファンたちに会う。IUのまた変わった姿を現場で確認することができると期待される。