[スポーツソウルドットコム|キム・ガヨン記者] 去年ベネチア国際映画祭の最高の栄誉である金獅子賞を受賞し韓国映画の位相を高めたキム・ギドク監督が、新作「メビウス」で再びベネチアを訪れることになった。性と家族というテーマについて並々ならぬ観点を見せてきたキム・ギドク監督。今年は非競争部門だが、今作の「メビウス」でもう一度ベネチア国際映画祭の大注目を浴びるとみられる。
「メビウス」は、欲望を去勢された家族の致命的な苦闘を描いた作品。韓国では二度に渡って制限上映可等級を受けほど性に対する描写が露骨だという。制限上映可は、上映・広告・宣伝で制限が必要だと判断される映画に下す判定で、この判定が下された映画は、制限上映館として登録された劇場でしか上映と宣伝ができなくなる。問題は韓国で制限上映可の専用劇場がないことだ。そのため、制限上映可の判定を受けのは、事実上、韓国国内での上映ができないことを意味する。結局、賛否の試写会まで行って、当初の作品よりも2分30秒ほどカットして作品を修正、青少年観覧不可等級を受けた。ベネチア国際映画祭が終わる時期に合わせて、来月5日、封切りする予定だ。
キム・ギドク監督は、特にベネチア国際映画祭と縁が深い。2000年の「島」を始め、「受取人不明」(2001年)、「うつみせ」(2004年)、「ピエタ」(2012年)まで、合計5本がベネチア国際映画祭から招請される大記録を立てた。特に、「うつみせ」では監督賞である銀獅子賞を、「ピエタ」では金獅子賞まで手に入れた。
ベネチアが愛したキム・ギドク監督の新作「メビウス」に対する評価も好意的だ。トロント映画祭のアジア映画プログラマーであるジオバンナ・ポルビは、「『メビウス』はキム・ギドク監督の卓越した能力を見せてくれる作品。最も見事に、慣習というものに挑戦する純粋な映画」と高く評価した。
スペインのシッチェス国際ファンタスティック映画祭の執行委員長であるアンヘル・サラも、「キム・ギドク監督は、言葉のない世界での陰密な悪夢とコミュニケーションの不在で破壊された家族の肖像画を、安易な挑発や非倫理的な表現でなく、強烈でインテリジェントな方法で描かいた」と「メビウス」を説明した。
役者たちの演技も好評を博している。特に、キム・ギドク監督の映画的同伴者、チョ・ジェヒョンは11年ぶりにキム・ギドク監督の映画に出演、爆発的な演技力を見せた。チョ・ジェヒョンは「メビウス」で、一人の男として、また父として複合的な感情を表現し、観客を魅了する予定だ。キム・ギドク監督はチョ・ジェヒョンについて、「『メビウス』は、チョ・ジェヒョンの参加で再出発された映画だ。前半と中盤、後半にかけて徐々に変化する父の姿を三拍子にも分けて上手く演技した」と彼を称賛した。
チョ・ジェヒョンの息子役を演じたソ・ヨウンジュは初主演作「犯罪少年」で、昨年の東京国際映画祭、シネマニラ国際映画祭などの海外映画祭国で最優秀主演男優賞を受賞し、世界を驚かせた新鋭だ。二番目の主演作「メビウス」でベニス国際映画祭に進出する栄誉を担った。彼は「メビウス」で、父の誤りによって生涯消えない傷を抱いて生きる人物を演じ、成人演技者に劣らない情熱と演技力を披露した。女優イ・ウンウは、「メビウス」で母親と“別の女性”など1人2役を演じだ。キム・ギドク監督は、「イ・ウンウは、現場での強力なエネルギーが印象的な女優だ。「メビウス」では、安定した演技で1人2役を上手く果たした」と高く評価した。
論争を重ね、韓国映画界に波乱を起こしたキム・ギドク監督の「メビウス」が、海外の映画祭ではどのような評価を受けるのか、関心と期待が高まっている。