札幌市の秋元市長は、ラージヒルがある大倉山ジャンプ競技場にノーマルヒルを併設する整備計画について、検討を進める考えを明らかにしました。
なぜ整備が必要なのでしょうか。
ラージヒルのジャンプ台を備え、1972年冬季オリンピックの舞台にもなった大倉山ジャンプ競技場。
検討が進められているのが、この場所にもうひとつのジャンプ台・ノーマルヒルを併設させる「デュアル化」の計画です。
現在、ラージヒルが大倉山、ノーマルヒルが宮の森と市内の別々の場所にあるジャンプ台。
ともに老朽化が進み、国際スキー連盟が定める規則を満たせていない課題に直面しています。
そうしたなか28日、秋元市長が明らかにしたのが、スキージャンプ施設の再整備計画です。
(秋元市長)「(以前は)大倉山シャンツェの右側に雪印シャンツェのジャンプ台がありました。そういったところにいまのノーマルヒルを移して一緒に整備する方がいいのではないか」
これは、現在の形に改修される前の大倉山ジャンプ競技場の映像です。
札幌オリンピック開催に伴う観客スペース確保のため、いまの姿に整備される前は、大小2つのジャンプ台が併設されていました。
全日本スキー連盟の原田雅彦会長はそのメリットを力説します。
(全日本スキー連盟 原田雅彦会長)「2つ並ぶことによって、ジャンプの選手は非常に練習を効率よくできる。管理する方としても1つにまとまっていることによって、冬の整備などの面でいっぺんに済むので非常にメリットがある」
こうした利点から、長野県の白馬ジャンプ競技場や欧州などでは、すでに「デュアル化」が採用されています。
国際的なスキージャンプ施設としてその地位を高めているのです。
(長岡記者)「計画ではラージヒルの右隣にノーマルヒルのジャンプ台をつくるということです」
「デュアル化」については、札幌市が冬季オリンピック・パラリンピックの招致活動で検討を進めてきた経緯があり、当時、施設整備に90億円がかかると試算されていました。
(青森からの観光客)「隣にあることで選手も練習や大会で移動も楽で練習のしがいもあるのではないか」
札幌オリンピックミュージアムの阿部雅司名誉館長も期待を寄せます。
(札幌オリンピックミュージアム 阿部雅司名誉館長)「選手が飛んでいる機会が増えるので、観光客も試合じゃなくてもジャンプを見る機会が増えるのは間違いない。デュアル化はオリンピックがあってもなくてもやらなければならないことだと思っていたので、今回話が進んだみたいでうれしく思っています」
老朽化するジャンプ競技場の整備に向けて、札幌市は早ければ2025年度の予算に設計にかかわる費用を盛り込み、さらなる検討を進める方針です。