原子力規制委員会は24日、再稼働を目指す北海道電力泊原発3号機について、北電側の説明を了承し、主要な質疑を終えました。
再稼働に必要な3ステップの審査のうち、11年に及んだ第一段階が事実上終了しました。
東京都内で開かれたのは原子力規制委員会の審査会合です。
初会合から実におよそ11年半、ついにー
(原子力規制庁 天野直樹安全管理調査官)「本日事業者から説明があった内容について、審査会合においてコメント回答を要するような追加の指摘事項等はなかったものと認識しています」
再稼働に向けて北電は説明を終了。
規制委はこれを了承し、「審査書案」とよばれるいわゆる「合格証」の作成作業に入ります。
泊原発は2011年3月に発生した東京電力福島第1原発の事故以降、2012年5月までに1号機から3号機のすべてが停止していました。
国は2013年7月に原発再稼働の条件として新規制基準を施行し、泊原発は全国のほかの3電力会社とともに、初日に審査を申請していました。
他の原発の再稼働が次々と決まる中、進展が見られなかった泊原発。
それは、泊原発の地下にある断層について「活断層ではない」根拠を北電が示すのに時間がかかったためです。
(原子力規制委員会 石渡明委員(当時))「どういう地層であるか、きちんと認定するためには、やはりいろいろなデータがそろっていないとなかなかOKが出せない。もう少しデータをそろえる必要がありますねと申し上げた」
また、津波対策の防潮堤も一度作り直すなど、基準地震動や基準津波の想定もそれぞれ2度変更、自然災害に対する評価に手間取りました。
専門家は、審査が11年半にも及んだ事情についてー
(龍谷大学 大島堅一教授)「北海道電力自身の能力不足というか、そういうところは厳しく規制委員会の委員に言われる場面も見てきました。経営判断で稼働しなければならないという風に思うのではなくて、何よりも安全性が確保されてこその原発だと思います」
鈴木知事は原発の再稼働について、国がその必要性をしっかり説明していくことが重要だと話しました。
(鈴木直道知事)「エネルギー政策というのは国にとって極めて重要。その考えに至った背景とこれからの考え方というのを国が前面に立って説明していくことが大事だと思っています」
北電は新規制基準の適合性について、24日の会合で一通り説明を終え、「原子炉設置変更許可の取得に大きく前進した。泊発電所3号機の早期再稼働に向けて総力をあげる」などとコメントしました。
ほかの原発の例から、2025年春には再稼働に必要な3ステップの審査のうち、第一段階が終了すると見込まれます。