廃墟と化した「空きビル」が各地で悩みの種となっています。
「空きビル」となった事情は、基幹産業の衰退や観光客の減少など様々です。
しかし、手をこまねいているわけにはいかないと、新たなマチづくりに動き出したところもあります。
北海道釧路市内の中心部に車を走らせてみると…
スプレーで落書きされた建物や…
1階すべてがブルーシートで覆われたビルも。
「空きビル」がとても多い印象を持ちます。
かつてデパートとしてにぎわっていた場所は…
(武田記者)「繁華街にある廃虚となっているビルなのですが、中には掃除機や木の板が散乱しています。そしてこちらは天井が落ちてしまってむき出しになっていますね」
ホテルだったこの建物もこのありさま。
(釧路市民)「となり近所の人とか大変だと思うよ。危険だなってここ通るたびに思うんだ」
釧路市の中心部には、4階建て以上の大規模空き家が実に20か所もあります。
このうち、倒壊などの危険がある「特定空き家」に指定された空きビルは3か所です。
(釧路市 鶴間秀典市長)「行政代執行は最後の手段となります。実際に連絡が取れていないようなビルも持ち主もいらっしゃいます。予算との相談となりますし、担当部と手続きのこと、法律上のこと含めて今後のことについて話し合っていく予定」
「空きビル問題」について専門家は、自治体の役割の大きさについてこう強調します。
(北海道大学 森傑教授)「市としてメーンストリートをどういう姿に30年後50年後、していくんだと、民間企業や資金を含めて議論していくことが必要」
「空きビル問題」はなにも釧路市に限ったことではありません。
(林記者)「天人峡温泉です。廃墟となったホテルは撤去され、姿をうかがい知ることはできません」
風光明媚な景観が魅力の上川の東川町の天人峡温泉。
ここも、業績悪化で倒産したホテルなどが、かつての面影もないまま実に5年以上も放置されていました。
長年、課題となっていた「廃ホテル」。
地元の東川町と美瑛町は国の補助金などを使い、2年をかけて撤去。
全ての作業を終えたのは12月になってからです。
(東川町適疎推進課 窪田昭仁課長)「『天人閣』があった場所は、自然景観が楽しめる空間に整備したい」
ホテル跡地には、展望デッキや温泉を楽しめる足湯などのアクティビティを整備する予定です。
(東川町適疎推進課 窪田昭仁課長)「建物を撤去するのが最終目標ではなく、天人峡地区の魅力を最大限に活かしていきながら、早ければ2027年度(令和9年度)から跡地整備を行った場所をご利用いただく」
いわゆる“空洞化”が進み、道内各地で目立つ「廃ビル」問題。
各々で特有の課題はありますが、自治体の積極的な姿勢も解決のカギを握ると言えそうです。