【動画】冬限定の行列のできる菓子「SNOWS」を生み出した38歳若き社長の飽くなき挑戦…新商品開発現場に潜入!
冬季限定で販売される人気のチョコレート菓子「SNOWS(スノー)」。
長い行列ができるほどのヒット商品を生み出したのが、「洋菓子きのとや」を傘下に持つ38歳の若手社長です。
北海道の新たなブランドをめざすその戦略とはー
いま北海道で一番の行列?冬限定販売のお菓子「SNOWS」
カリカリのクッキーにたっぷりサンドした濃厚な生チョコレート。
冬季限定で販売される「スノーサンド」です。
(スタッフ)「SNOWSの整理券はこちらです!」
(恩田記者)「朝早くから配られた整理券を手にした人たちが列を作って入っていきます」
販売初日、札幌のデパートでは待ちわびていた客が次々と商品を手にしていました。
(客)「冬にしか出てこない商品なので、毎年並んで買っています。毎年注目度が上がっていて、友だちや家族にあげるんですけど、贈って喜ばれる」
(客)「1年に1回、これを楽しみにしていました。本当にこのクッキーが好きなんです。こればっかり6個くらい買いました」
客のお目当ては、4年前に誕生したチョコレートブランド「SNOWS」の商品。
バレンタイン向けにストロベリーチョコレートを使った新商品も発売され、連日売り切れるほどの人気です。
この大ヒットブランドを生み出したのは、長沼真太郎さん(38)。
「きのとや」や「千秋庵」を傘下にもつ、北海道コンフェクトグループの社長です。
(長沼真太郎社長)「うれしいですね。オープンするまで不安だったりするので、こういう様子を見て少しほっとしている」
目指しているのは、冬の北海道を代表する「ブランド菓子」。
ヒット商品を次々と生み出す戦略に迫ります。
ヒットメーカーの新商品”開発会議”に潜入!その厳しさに圧倒…
(開発メンバー)「開発会議を始めます」
この日、開かれていたのは新商品の開発会議。
パティシエたちが、新しい商品を長沼社長に提案します。
(長沼真太郎社長)「何が違うんですか?前回のと」
(開発メンバー)「前回の物の色の濃い方に生バターを最後にプラスした。もともとは塩を入れていないので、塩味が気になるかどうか…」
(長沼真太郎社長)「ちょっと意見を聞きたいですね、皆さんどう思うか」
いま開発しているのは、キャラメルを使った新商品。
(開発メンバー)「もうちょっとキャラメル濃くてもいいかな」
(開発メンバー)「私は逆に薄くていいのかなと思って」
ときには厳しい指摘もー
(長沼真太郎社長)「ちょっと味的にもいまいちですね、甘すぎるしくどい感じ」
大ヒットにはワケがある…その独特な販売戦略を紐解く
大人気の「SNOWS」シリーズもこの会議から誕生しました。
その販売戦略は独特です。
あえて店舗を持たず冬季限定で販売。
パッケージにはブランド名を入れず、雪と山をモチーフにした版画を採用しました。
看板商品のスノーサンドは昨シーズン、前の年の約2倍・620万枚を売り上げました。
【スノーサンドの販売枚数】
1シーズン目 50万枚以上 (2021年1月~約2か月間)
2シーズン目 約250万枚 (2021年11月~2022年3月末)
3シーズン目 約320万枚 (2022年11月~2023年3月末)
4シーズン目 約620万枚 (2023年11月~2024年4月末)
(長沼真太郎社長)「味が受け入れられてしっかり口コミで広がったのが一番だなと思っていますし、北海道の冬という世界観がお客さまにしっかり伝わったなと感じています」
お菓子に囲まれ育った“二代目”…父はあの「きのとや」創業者
長沼社長は1986年、「きのとや」創業者の長男として生まれました。
子どものころからお菓子に囲まれて育ったといいます。
(長沼真太郎社長)「毎日のように試作品があって、どっちがおいしいと思う?って聞かれ続けて育ってきたので。お菓子に関係がある仕事というのはやりたいなって思っていました」
大学卒業後は商社勤務などを経て、2013年に焼きたてチーズタルトで人気を集めた「BAKE」を創設。
およそ1000人の従業員を抱え、海外にも出店しました。
BAKEを売却したあと、現在の社長に就任。
老舗の「千秋庵」をグループに入れ、和菓子と洋菓子のノウハウを生かした「生ノースマン」を販売。
赤字だった千秋庵を黒字に転換しました。
(長沼真太郎社長)「基本的にはわれわれはチャレンジャー。母体は「きのとや」で生ケーキを中心とした会社になるので、デコレーションケーキ・ショートケーキといった強みをいかした商品展開をしていくことがほかとの違いになると思っている」
パティシエ刮目!社長のアイデア…かりんとう”揚げる技術”を活用して?
そのアイデアは尽きることがありません。
かりんとうの製造会社がグループに入り、開発したのが「スノーチップス」。
かりんとうの揚げる技術を活用し、チョコレートを油で焼き上げました。
(商品企画部 星ゆみ部長)「そんな製法はないだろうっていうところを、形をこうしたいから何とかできないかっていう課題をもらうと、開発のみんなは試行錯誤で試作してみたり、アイデアを募ってみたり」
(研究開発部 久松寛知部長)「僕らはお菓子はこうでないといけないとか固定観念で動いている部分があるので、(長沼社長は)結構変わったこと言ってくるんですけど、僕らだけだとああいうアイデアのお菓子は出来なかったと思う」
牛乳とタマゴは自ら生産…ニワトリにも「きのとやのお菓子」を!?
何よりも「おいしさ」を追求する中で、大切にしているのがお菓子の原材料です。
日高町にある牧場です。
牧草地を自由に動き回る乳牛。
およそ40頭の牛を放牧飼育しています。
この牧場を経営するのも長沼社長です。
ここで搾った牛乳に冬限定で販売されるSNOWSの秘密がありました。
(牧場長 工藤悟さん)「冬の牛乳は成分が濃いです。一般的に売られている牛乳とコップで比較すると色合いが全然違う」
冬の寒さで脂肪分をたっぷり蓄えた牛乳。
SNOWSのチョコレートが深い味わいとなるのです。
この日、長沼社長が向かったのは札幌市内の養鶏場です。
(長沼真太郎社長)「あそこにネスト(灰色の部屋)があります。その中で毎朝タマゴを産む」
グループ会社で6000羽以上のニワトリを飼育。
おやつとして与えているのは、きのとやのお菓子です。
(長沼真太郎社長)「お菓子はスノーサンドのくず。うまくいかなかったものをそのままあげたりする。めちゃくちゃおいしいと思う」
クッキーやケーキのスポンジなど産業廃棄物としてお金を払って捨てていたものが、ニワトリの栄養に変わります。
タマゴを割ってみると…
(長沼真太郎社長)「ものすごくいきがいいので白身が高い。おいしいと思う」
このタマゴは再び「きのとや」の商品に使われます。
(長沼真太郎社長)「全部循環して、毎年毎年おいしい原材料に生まれ変わって、おいしいお菓子につながる。毎年お菓子がおいしくなりますって言っている」
お菓子会社が酪農や養鶏に自ら取り組むのは珍しいことだといいます。
長沼社長が目指しているのは「環境再生型農業」です。
工場で廃棄されていた「お菓子のくず」がニワトリの”エサ”となり、ニワトリの「フン」などは牛が食べる牧草を育てる”肥料”に変わります。
そして、ニワトリの「タマゴ」や牛の「ミルク」が工場で”おいしいお菓子”となり客に届き、客がお菓子を購入することで自社農場がさらに充実していく、という循環を生むのです。
長沼社長は「放牧」が環境に与える影響などを北大の教授らとともに調査し、環境を再生しながら酪農や養鶏、さらにお菓子作りを行うことを目指したいといいます。
目指すのは”北海道発”のブランド菓子
アイデアを生かして挑戦を続ける長沼社長。
その志は北海道に留まりません。
(長沼真太郎社長)「こんなにおいしい価値のある北海道のお菓子をより多くの人に食べてもらう。それが東京だとか本州かもしれないですし、いまだとやっぱり海外かもしれない。より多くの人に北海道だけじゃなくて届けるか、そこがチャレンジできたら結果的に北海道の人のためになるかもしれないし、北海道経済にも貢献できると思うので」
北海道発のブランド菓子を目指してー
その視線の先には「世界」も見据えています。
「2025さっぽろ雪まつり」に出店決定! 雪まつり期間限定缶も登場
昨年も長い行列ができた「さっぽろ雪まつり会場」に、ことしもSNOWSポップアップストアが出店します。
SNOWSの代表商品「スノーサンド」の雪まつり期間限定パッケージや、2025年バレンタイン新商品の「森ノ木 赤」が購入できるということです。
~SNOWS「2025札幌雪祭り」POP UP STORE~
【期間】2025年2月4日(火)~2月11日(火)
【営業時間】午前10時~
【場所】大通公園4丁目会場STV広場