【動画】寒さの中で車中避難を体験 “真冬の災害”どう備える 阪神・淡路大震災から30年 教訓生かすには?
阪神淡路大震災をきっかけに、日本の防災や災害対策が様々変わりました。
「真冬の備え」もその一つです。
なにがどう変わったのか。
30年前の1月17日に起きた大震災の教訓は、いまの北海道にどう活かされているのか。
キーワードは「生き延びる防災」です。
日本に8台!「エアコア」が札幌に!その知られざる「性能」
(宮永キャスター)「いま降りてきました。見た感じ巨大なジェットヒーターのようなイメージ」
2024年、札幌市消防局に配備された最新の消火装置「エアコア」。
日本には8台しかありません。
このエアコアがすごいのは…
放水距離は実に80メートル以上!
1分間に4トンもの大量放水が可能なのです。
エアコアがすごいのはこれだけではありません!
(札幌市中央消防署 北本哲也さん)「風の角度が足元にきているので」
(宮永キャスター)「きますね!例えるなら台風のときの風に近いようなそんな風ですね。これでもまだ半分」
放水と同時に風速45メートルの風も送ることができます。
煙や有毒ガスを一気に拡散できるので、トンネルなどの大規模な火災で大いに威力を発揮します。
がれきの下に埋まった人を発見する機材も…
(宮永キャスター)「いま入っていきました。画像がきれいですね」
(札幌市中央消防署 北本哲也さん)「そうですね、先端にライトもついているので、がれきの中の暗闇でも要救助者の方を発見することができます」
さらに最新の機材は…?
(宮永キャスター)「これも救出用の機械?」
(札幌市中央消防署 北本哲也さん)「はい、電磁波探査装置といって、この箱の下からレーダーが照射されて、がれきなどの下にいる要救助者を検索する資機材」
壁をがれきに見立て、黒い箱の下から出る電磁波を当てると…
(札幌市中央消防署 北本哲也さん)「サーチ開始」
(宮永キャスター)「いま1人いました、もう1人」
(札幌市中央消防署 北本哲也さん)「サーチ終了、要救助者2名確認」
(宮永キャスター)「2名ということですが、実際にはどうでしょうか?確かに2人いました。無事発見です」
カメラを使わず電磁波で探す。
阪神淡路大震災以降、救助の機材も進化の一途です。
応援に神戸に…札幌市消防局のベテランが語る「30年前」
(札幌市西消防署 田村伸也さん)「大きな建物が倒壊して完全につぶれているところもあったので、どこから入っていいかというのは正直自分は全く分からない感じはしました」
札幌市消防局のベテラン・田村伸也さんは、30年前のあのとき、神戸市に応援に入りました。
いまなお、鮮明な記憶として残っています。
(宮永キャスター)「それまでの消防隊員としての経験ではなかった現場?」
(札幌市西消防署 田村伸也さん)「なかったですね。通常火災であれば玄関や窓から救出ということが一般的だが、建物の1階がつぶれて2階が残っているという状況だと、2階から入って床下は1階なので、中を想像しながらこの辺にいるんじゃないかとかそういう感じの検索」
(宮永キャスター)「本当に悲しい出来事でしたが、それをちゃんとつないでいくことが一番大事」
(札幌市西消防署 田村伸也さん)「本当に自然災害は容赦ないと、災害を見るたびに本当に容赦がないなと感じる。だからこそしっかりと出来ることをやっておくのが大事だと思う。あの災害をきっかけに、住民の“自助”という言葉が浸透した」
札幌市の「真冬の備え」は?阪神大震災が残したもうひとつの教訓
(宮永キャスター)「冬の災害への備えは?」
(札幌市在住)「北海道は大変、防寒が第一だから。電気を発電するものを買っているのでいいかなと」
(札幌市在住)「ガスボンベで使える暖房器具を買っておいたり、アルミのブランケットやカイロを普段使うのにプラスして多めに」
一方で、札幌市の備蓄倉庫にはー
(宮永キャスター)「どういったものを置いている?」
(札幌市危機管理課 岡部歌織避難支援担当係長)「食料や簡易ベッド・毛布・寝袋などを置いております」
阪神大震災が残したもうひとつの教訓。
それは「真冬の震災への備え」です。
(宮永キャスター)「外の冷たい風が吹き込んでくるような空間ですが、寝袋に入ると非常に上着を着ているというのもあるんですが暖かいです」
特に真冬の災害への備えは、行政だけではなく一人一人の備えが重要だと専門家は指摘します。
(日本赤十字北海道看護大学 根本昌宏教授)「住民は一人一人事情が違う。夜トイレに立つ回数が多いとか足が不自由だとか、災害のときにも同じようにしなければならないことが健康を保つ基本的な部分。そういったことをしっかりと認識した上で、決して行政に依存せずとも出来るということを理解してもらいたい」
5歳の子どもと真冬の車中避難…体験しなきゃわからない「気づき」
(訓練)「姿勢を低くして落ち着いて避難してください」
地震で火事が起きた!そんな想定で真っ白な中から逃げる訓練です。
真冬の災害に意識を高めようと、北見市で1泊2日で行われた防災イベントのひとコマです。
参加者が特に盛り上がったのは、真冬に車の中で過ごす…という体験です。
(長岡記者)「エンジンを切った車の中でどれぐらい耐えられるのか、イベントに参加している江藤さん親子と一緒に中に入ってみます」
5歳の子どもと真冬の車中避難。
北海道では十分考えられるケースです。
(江藤さん)「ここでどのくらい我慢できるか頑張るんだよ」
(子ども)「あそこ体育館。おなかすいた」
(江藤さん)「これ体に巻いたらあったかいかな」
(子ども)「あったかいで~す。ふふふ、パパが見えない」
(江藤さん)「かくれんぼしてんの?」
(子ども)「そう!どこだ?」
(江藤さん)「分かんないなあ見つけたらこちょこちょしちゃおうかな」
わずか20分の体験でしたが、小さな子どもは車内でじっとしていることにすぐに飽きてしまった様子。
(子ども)「すごく楽しかった」
(江藤さん)「一晩過ごすことを考えると頑張れそうもない」
参加者の感想も同じようなものでした。
(参加者)「車の中に毛布やアルミを積んでおかないと車が動かなくなったときに寒い」
(参加者)「(子どもたちは)「ひまだひまだ」と言っていた。それが一番難点だった。寒さよりもお腹すいたと暇がすごく激しくて、食料とひまつぶしグッズはあった方がいいと思った」
訓練で実際に体験すると、いろいろなことに「気づく」。
その「気づき」が重要…と専門家は力説します。
(日本赤十字北海道看護大学 根本昌宏教授)「できることを一人一人増やすのが防災力の向上に直結する。年に一回は必ず市町村の中で防災訓練があると思うので、ちょっと行ってみようと自分の家庭の中でひもといてもらいたい」
阪神淡路大震災から30年。
その教訓は、耐震基準や法律、そして真冬の避難の備えなど、いまの災害対策の礎になっています。