伊勢志摩国立公園に指定されている志摩半島の最南端にある「大王埼(だいおうさき)灯台」。太平洋の荒波が打ち寄せるダイナミックな海と空が広がる絶景を、360度のパノラマビューで楽しむことができます。絶景を満喫した後は、波切漁港でとれた新鮮な魚介類を味わえますよ!
海の難所に建てられた「大王埼灯台」
三重県志摩市大王町、志摩半島の東南端にある「大王埼灯台」。東京から新幹線のぞみで名古屋駅まで約1時間40分、近鉄特急に乗り換えて鵜方(うがた)駅まで約2時間。またそこからバスで20分という、東海地方にありながら世界の果てのような辺鄙な場所にあるのが、また魅力です。
賢島(かしこじま)に滞在していた筆者は電動自転車で行きましたが、1時間以上はかかったと思います。どこから行くにも遠いけれど、それだけに時が止まったような、都会から隔絶された素朴な雰囲気がまたいいのです。これぞ旅!という実感がわいてきます。
大王埼は昔から海の難所として知られていたそうです。大正2年(1013年)にサンマ漁船が遭難して死者51人を出し、同6年(1917年)には当時の日本海軍が誇る3,000トンの巡洋艦「音羽」がこの沖の大王岩に激突し座礁したことなどから、昭和2年(1927年)に灯台が建設され点灯されました。昭和53年(1978年)には大改修を行い、現在の姿になったそうです。
波切漁港から灯台へ
まずはバス停のある波切(なきり)漁港に到着。小さな漁港というのは実質のみで、素っ気なさがいいですね。釣り場としてもおすすめのようです。
灯台へ行く道には、真珠のアクセサリーを販売するお店がいくつかあります。養殖と卸売が本業なのでしょう。デザインの好みもありますが、百貨店や有名店よりお得な価格で購入できるはずです。
灯台へは、こんな坂道を上っていきます。
ここにも真珠店があります。灯台への坂道は、湘南・江の島の展望灯台に行く道を思わせます。でも、ほとんどのお店は閉まっており、ひなびた雰囲気が漂います。
食事ができると思っていたお店は、その日は人手が足りないそうで店頭販売のみでした。
ほどなく大王埼灯台に到着。青空に白亜の灯台が映えます。
灯台に来ると、地の果てにたどり着いたような感じがして、旅情をそそられるのですよね。
太平洋の大海原と水平線が広がる絶景!
階段を上っていくと、途中に小部屋があります。絵になる風景が多いことから、大王埼は「絵かきの町」といわれているそうです。こちらには灯台を描いた数多くの絵が飾られています。
この部屋を出たところから見る海はこんな感じです。先に何も阻むものがない、一直線の水平線を見ていると心が解放されていくようです。
真下には岩を取り巻くように波が渦巻いています。
頂上からの景色です。志摩半島南部を見渡せます。
灯台をより深く理解できる「大王埼灯台ミュージアム」
灯台を下りると、「大王埼灯台ミュージアム」があります。日常生活では灯台のことを考える機会は、なかなかないと思いますが、こちらでは灯台の役割や仕組み、歴史などをより深く知ることができますよ。
クイズ形式になっていたり、
映像で見ることもでき、わかりやすく解説してくれます。かつては灯台守という職業があり、彼らは一年中休むことなく働いていたそうです。灯台やその近くに家族と共に暮らしながら、船の安全な航行を支えていました。
大王埼灯台の構内には官舎があり、灯台守はそこで暮らしていたそうです。灯台の点灯と消灯が主な仕事ですが、ほかにも気象情報を観測して気象台に知らせる電報を打ったり、漁業関係者からの海の状況の問い合わせに答えたりしていたとか。ここから遠くない、三重県鳥羽市の離島・神島を舞台にした三島由紀夫の『潮騒』に、灯台長夫妻が登場していたのを思い出しました。
2004年に最新レーダーの設置による気象(波高)観測の自動化により無人化され、灯台守の存在がなくなったそうですが、そう古いことではないのですね。機械化された今でも、職員は定期的に巡回点検を行っています。
また意外だったのが、日本全国でのぼれる灯台は、千葉銚子市の犬吠埼、静岡県熱海市の初島、沖縄県読谷村の残波岬など16基のみだそう。実は貴重な存在なのですね。
大王埼灯台
住所:三重県志摩市大王町波切54
電話:0599-72-1899(公益社団法人燈光会 大王埼支所)
参観時間:3月~10月 9:00~16:00、土日祝・GW 9:00~16:30、11月~2月 9:00~16:00
参観寄付金:300円(中学生以上)
URL:https://daiozaki.com/
海藻店や干物店で地の食材を購入できる
灯台から少し下りた所に「八幡さん公園」があります。ここは灯台を撮影するのに最適なスポットです。
行きに上ってきた道にある海藻店で「あおさ」を購入しました。なんと3袋500円(税込)!道の駅で購入すると倍以上の価格になりそうです。地の食材はなんといってもうれしいですね!
もうお店が閉まるところで、しかも、自宅に帰るまで日数があったのであきらめましたが、できれば魚の干物も購入して帰りたいですね。
鰻と漁港からのとれたて海鮮を堪能!「うなぎ・寿司 しまや」
波切漁港に戻りました。
ランチをしようとGoogle マップで探したものの、表示される数少ないお店は閉まっています。そこで、路地の先に「うなぎ」と書かれたのぼりが見えたので入ってみました。お店の看板もないこちら(後で確認すると実はこの上に看板がありました)。なにやらおいしそうな予感・・・。
ここで鰻がとれるのかな?と疑問に思っていたら、今一番良い鹿児島産の鰻を使われているとのこと。
漁港近くで営む海をよく知る人が言うのだから間違いない!と鰻定食(並)1,800円(税込)を注文しました。今年は土用の丑の日にも鰻をいただけなかったので、久しぶりでうれしい!鰻ときゅうりとの酢の物“うざく”も付いています。鰻をしっかりと堪能できました。
パートナーはにぎり1,800円(税込)を注文しました。これが素晴らしかった!見て下さい!この大ぶりの刺身!すごいボリュームで、しかも食べてみると鮮度の違いがすぐにわかります。尋ねてみると、やはり波切漁港から、その日に仕入れたとれたてだそうです。漁港ならではの醍醐味ですね。
後で確認したところ、創業75年のうなぎと寿司のお店「うなぎ・寿司 しまや」でした。秘伝のタレを守り続け、三姉妹で営まれています。鰻を先代によるこだわりの秘伝のタレに漬け込んで焼くことを3回繰り返しているそうです。元々は大王町の船越という所で営業していたのを、波切漁港の漁師さんたちに頼まれて、漁港近くに移転されたとか。土地に根付いたこんなお店、好きですね~。
うなぎ・寿司 しまや
住所:三重県志摩市大王町波切234
電話:0599-72-0331
営業時間:10:00~21:00
※2021年8月17日現在、10:00~20:00(L.O.19:00)
定休日:火曜日
※テイクアウトも可能
URL:https://isesima.info/shimaya/
※現在、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、営業時間が変更になっています。詳しくは店舗にご確認ください。
灯台からの海の絶景を楽しみ、観光地化されすぎていない素朴なたたずまいの漁港で、とれたての魚介類を味わう。派手さはありませんが、その土地に根付いた本物に出会えます。
[All photos by Yo Rosinberg]
Do not use images without permission.
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海の難所に建てられた「大王埼灯台」
三重県志摩市大王町、志摩半島の東南端にある「大王埼灯台」。東京から新幹線のぞみで名古屋駅まで約1時間40分、近鉄特急に乗り換えて鵜方(うがた)駅まで約2時間。またそこからバスで20分という、東海地方にありながら世界の果てのような辺鄙な場所にあるのが、また魅力です。
賢島(かしこじま)に滞在していた筆者は電動自転車で行きましたが、1時間以上はかかったと思います。どこから行くにも遠いけれど、それだけに時が止まったような、都会から隔絶された素朴な雰囲気がまたいいのです。これぞ旅!という実感がわいてきます。
大王埼は昔から海の難所として知られていたそうです。大正2年(1013年)にサンマ漁船が遭難して死者51人を出し、同6年(1917年)には当時の日本海軍が誇る3,000トンの巡洋艦「音羽」がこの沖の大王岩に激突し座礁したことなどから、昭和2年(1927年)に灯台が建設され点灯されました。昭和53年(1978年)には大改修を行い、現在の姿になったそうです。
波切漁港から灯台へ
まずはバス停のある波切(なきり)漁港に到着。小さな漁港というのは実質のみで、素っ気なさがいいですね。釣り場としてもおすすめのようです。
灯台へ行く道には、真珠のアクセサリーを販売するお店がいくつかあります。養殖と卸売が本業なのでしょう。デザインの好みもありますが、百貨店や有名店よりお得な価格で購入できるはずです。
灯台へは、こんな坂道を上っていきます。
ここにも真珠店があります。灯台への坂道は、湘南・江の島の展望灯台に行く道を思わせます。でも、ほとんどのお店は閉まっており、ひなびた雰囲気が漂います。
食事ができると思っていたお店は、その日は人手が足りないそうで店頭販売のみでした。
ほどなく大王埼灯台に到着。青空に白亜の灯台が映えます。
灯台に来ると、地の果てにたどり着いたような感じがして、旅情をそそられるのですよね。
太平洋の大海原と水平線が広がる絶景!
階段を上っていくと、途中に小部屋があります。絵になる風景が多いことから、大王埼は「絵かきの町」といわれているそうです。こちらには灯台を描いた数多くの絵が飾られています。
この部屋を出たところから見る海はこんな感じです。先に何も阻むものがない、一直線の水平線を見ていると心が解放されていくようです。
真下には岩を取り巻くように波が渦巻いています。
頂上からの景色です。志摩半島南部を見渡せます。
灯台をより深く理解できる「大王埼灯台ミュージアム」
灯台を下りると、「大王埼灯台ミュージアム」があります。日常生活では灯台のことを考える機会は、なかなかないと思いますが、こちらでは灯台の役割や仕組み、歴史などをより深く知ることができますよ。
クイズ形式になっていたり、
映像で見ることもでき、わかりやすく解説してくれます。かつては灯台守という職業があり、彼らは一年中休むことなく働いていたそうです。灯台やその近くに家族と共に暮らしながら、船の安全な航行を支えていました。
大王埼灯台の構内には官舎があり、灯台守はそこで暮らしていたそうです。灯台の点灯と消灯が主な仕事ですが、ほかにも気象情報を観測して気象台に知らせる電報を打ったり、漁業関係者からの海の状況の問い合わせに答えたりしていたとか。ここから遠くない、三重県鳥羽市の離島・神島を舞台にした三島由紀夫の『潮騒』に、灯台長夫妻が登場していたのを思い出しました。
2004年に最新レーダーの設置による気象(波高)観測の自動化により無人化され、灯台守の存在がなくなったそうですが、そう古いことではないのですね。機械化された今でも、職員は定期的に巡回点検を行っています。
また意外だったのが、日本全国でのぼれる灯台は、千葉銚子市の犬吠埼、静岡県熱海市の初島、沖縄県読谷村の残波岬など16基のみだそう。実は貴重な存在なのですね。
大王埼灯台
住所:三重県志摩市大王町波切54
電話:0599-72-1899(公益社団法人燈光会 大王埼支所)
参観時間:3月~10月 9:00~16:00、土日祝・GW 9:00~16:30、11月~2月 9:00~16:00
参観寄付金:300円(中学生以上)
URL:https://daiozaki.com/
海藻店や干物店で地の食材を購入できる
灯台から少し下りた所に「八幡さん公園」があります。ここは灯台を撮影するのに最適なスポットです。
行きに上ってきた道にある海藻店で「あおさ」を購入しました。なんと3袋500円(税込)!道の駅で購入すると倍以上の価格になりそうです。地の食材はなんといってもうれしいですね!
もうお店が閉まるところで、しかも、自宅に帰るまで日数があったのであきらめましたが、できれば魚の干物も購入して帰りたいですね。
鰻と漁港からのとれたて海鮮を堪能!「うなぎ・寿司 しまや」
波切漁港に戻りました。
ランチをしようとGoogle マップで探したものの、表示される数少ないお店は閉まっています。そこで、路地の先に「うなぎ」と書かれたのぼりが見えたので入ってみました。お店の看板もないこちら(後で確認すると実はこの上に看板がありました)。なにやらおいしそうな予感・・・。
ここで鰻がとれるのかな?と疑問に思っていたら、今一番良い鹿児島産の鰻を使われているとのこと。
漁港近くで営む海をよく知る人が言うのだから間違いない!と鰻定食(並)1,800円(税込)を注文しました。今年は土用の丑の日にも鰻をいただけなかったので、久しぶりでうれしい!鰻ときゅうりとの酢の物“うざく”も付いています。鰻をしっかりと堪能できました。
パートナーはにぎり1,800円(税込)を注文しました。これが素晴らしかった!見て下さい!この大ぶりの刺身!すごいボリュームで、しかも食べてみると鮮度の違いがすぐにわかります。尋ねてみると、やはり波切漁港から、その日に仕入れたとれたてだそうです。漁港ならではの醍醐味ですね。
後で確認したところ、創業75年のうなぎと寿司のお店「うなぎ・寿司 しまや」でした。秘伝のタレを守り続け、三姉妹で営まれています。鰻を先代によるこだわりの秘伝のタレに漬け込んで焼くことを3回繰り返しているそうです。元々は大王町の船越という所で営業していたのを、波切漁港の漁師さんたちに頼まれて、漁港近くに移転されたとか。土地に根付いたこんなお店、好きですね~。
うなぎ・寿司 しまや
住所:三重県志摩市大王町波切234
電話:0599-72-0331
営業時間:10:00~21:00
※2021年8月17日現在、10:00~20:00(L.O.19:00)
定休日:火曜日
※テイクアウトも可能
URL:https://isesima.info/shimaya/
※現在、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、営業時間が変更になっています。詳しくは店舗にご確認ください。
灯台からの海の絶景を楽しみ、観光地化されすぎていない素朴なたたずまいの漁港で、とれたての魚介類を味わう。派手さはありませんが、その土地に根付いた本物に出会えます。
[All photos by Yo Rosinberg]
Do not use images without permission.
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