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絶景と秘湯に出会う山旅(32)赤岳鉱泉から八ヶ岳主峰の赤岳を目指す

TABIZINE 2021年9月10日 7時30分

数々の名峰のなかでも大人気の山のひとつが、長野県と山梨県に広がる八ヶ岳です。多くの峰がありますが、主峰は標高2,899mの赤岳。山ガールにも人気の赤岳鉱泉に宿泊し、赤岳を目指しました。

赤岳のアプローチは 茅野からの美濃戸口コース
南北30キロ、東西15キロに渡って広がる八ヶ岳。もちろん日本百名山のひとつ。その最高峰・赤岳へのルートは東西南北たくさんあります。もっともポピュラーなルートが、西側にある長野県茅野市の美濃戸口から登るルート。



深夜に直行バスで東京を発ち、夜明け前に登り始めることもできますが、ゆったりと列車で行くならJR茅野駅で下車し、朝一番の美濃戸口行のバスに乗れば40分ほどで美濃戸口に到着です。



美濃戸口から歩きます。この日のルートは美濃戸を経て3時間ほど沢沿いを歩いて赤岳鉱泉へ。そして赤岳鉱泉で1泊し、翌朝、赤岳へのアタックとなります。



まずはなだらかに続く樹林帯を進む、気持ちのいい山道を歩きます。1時間ほど歩くと、分岐点手前の美濃戸山荘にやってきます。



この美濃戸山荘前には湧水がいつも流れています。これがとても冷たくておいしい水。水筒に詰めて持っていきましょう。もし水筒に水が入っていたら、飲み干して新たに詰めることをおすすめします。
赤岳へ2つのルート 赤岳鉱泉へは北沢ルート


美濃戸山荘を過ぎると赤岳へのルートは北沢ルートと南沢ルートの2つに分かれます。南沢ルートは行者小屋に向かい、そこからおもに赤岳に向けて壁を登ることになります。

北沢ルートは赤岳鉱泉に向かいます。硫黄岳方面へ向かうルートでもありますが、行者小屋へも30分ほどで行くことができます。



個人的には両ルートを歩いて2つの山小屋に宿泊していますが、今回は赤岳鉱泉に宿泊する北沢ルートをご紹介します。樹林帯と沢沿いに登山道を歩いて行きます。目の前に八ヶ岳の大きな壁が見えてくるとワクワクしてきます。



分岐点から2時間ほど歩くと、木立の向こうに赤岳鉱泉の建物が見えてきました。今日の歩きはここまで。美濃戸口から合計3時間ほど歩きました。
食事とお風呂が評判の赤岳鉱泉に宿泊
赤岳鉱泉に宿泊するのは、食事とお風呂が評判だから。しかも個室のある山小屋なのです。



美濃戸口を早朝にスタートすれば、さらに上の尾根にある赤岳天望荘、あるいは山頂手前の赤岳頂上山荘に宿泊することもできますが、無理をせずに自然を楽しみながら歩きましょう。



まずは入口の受付でチェックイン。参考までに、現在1泊2食で12,000円、1泊夕食だと11,500円だそうです。テント泊もできます。テント夕食だと2,500円、テント入浴では1,000円ですので、テントを担いでやってくるのも楽しいでしょうね。

今年も新型コロナウイルスの感染拡大が続き、営業が厳しくなっているために値上げをしているといいますが、その分しっかりと感染防止に取り組んでいるとのことです。



玄関の受付にはMENUが掲示されていました。山好きのみなさんはもうご存じでしょうが、赤岳鉱泉の名物はステーキなのです。それにポトフも付きます。MENUを見ただけでお腹がすきますね。



そして館内案内図で自分たちの宿泊する部屋を確認。赤岳鉱泉の内部はかなり広いのです。



まずはお風呂で汗を流しましょう。宿のスタッフの方に伺ったところ、このお湯は山から清水を引いているとのこと。山小屋の名前は「鉱泉」ですが、冷たい温泉=冷鉱泉というわけではないようです。とはいえ、汗をかいて歩いてきた後なので山小屋のお風呂はとても気持ちのいいものです。



18時。待ちに待った夕食です。ステーキは目の前にある陶板で自分で焼いていきます。う~ん、牛肉の焼ける音と匂いがたまりません。そして、味がしみ込んだポトフがとてもおいしいのです。ポトフとご飯はおかわり自由。ごちそうさまでした。



夕食後は、もう眠るしかありません。今回は下の棟の個室を予約していました。広さは4畳半ほどでしょうか。2名でちょうどですね。

料金は現在、下の棟個室が1室5,000円、上の棟個室が4,000円、そして2階の個室が8,000円だそうです。



朝食時間は6時から。山の朝食時間としてはゆっくりしています。鮭の塩焼きに納豆、そしてごはんと味噌汁という王道です。さあ、赤岳に向けて出発。
赤岳鉱泉
住所:長野県茅野市豊平
電話:090-4824-9986
※1週間以内の予約は携帯電話へ
HP:https://userweb.alles.or.jp/akadake

行者小屋経由で壁を登って赤岳へ
ここからが赤岳登山です。まずは30分ほどかけて行者小屋に向かいます。行者小屋前の広場で小休止して、態勢を整えます。



ここから、写真の右側にある大きな壁を尾根まで登り切らなくてはなりません。尾根までの標高差は350mあるといいます。そして山頂までは2時間ほど。



急登になります。最初は樹木もありますが、まもなく周囲は岩肌がむき出しとなり、鉄製の梯子段が現れます。



鉄階段もやがて鎖のついた岩場になり、石段になりますが、手を使って三点支持で慌てずゆっくり登れば問題ありません。雨風が強い時は無理をせず、特に注意して登ってください。



このルートは途中お地蔵さまがいらっしゃるので地蔵尾根と呼ばれています。尾根に登りきった稜線にも、もう一体のお地蔵さま。地蔵ノ頭と呼ばれる地点です。ここまで来ればひと安心。


頂上手前でふたたび急登 三点支持で登ります


手前の赤岳天望荘の上に赤岳の山頂が見えます。さらにその左側の雲の向こうを見ると、なんと遠くに富士山が見えています。すでに標高は2,700mあまり。地上がずっと下に見え、展望が開けています。

このあたりに来ると夏場でも気温がかなり低くなります。曇っていたりすると、さらに寒くなりますので防寒具は必需品です。お忘れなく。



稜線を歩き、遠くに見えていた赤岳天望荘の脇を通り過ぎ、赤岳に向かいます。



最後に山頂を前にして岩場の急登が待っています。捕まるところの少ない、滑りやすい岩場ですが、鎖がありますので、その鎖をいざという時の頼りにしながら、三点支持で登ります。

三点支持は岩登りの基本姿勢です。四肢のうち三肢で体を支えることで、手や足の一肢だけを自由にして次の手がかりや足場へ移動するのです。



途中で後ろを振り返ると、下にはすでに小さくなった赤岳天望荘と横岳に続く稜線が見えますね。



目を再び山頂に向けると、岩壁の向こうに山頂直前にある赤岳頂上山荘の建物が見えます。山頂はその建物の向こうです。



ようやく赤岳頂上山荘までたどり着きました。急坂は20分ほどの格闘だったでしょうか。



すると、ゴツゴツした岩場のもうすぐ先に頂上が見えます。ちょっと感激です。



標高2,899m。ついに赤岳の山頂に到着しました!この日は高曇りの天気でしたが、360度が見渡せます。



遠く雲の間に富士山が良く見えます。まさに絶景。ここまで登ってきたぞという達成感に満たされますね。

この後は赤岳から西にいったん下って、赤岳の手前にある標高2,805mの阿弥陀岳に登り、行者小屋から下山しました。天気にも恵まれて八ヶ岳を堪能できました。何度でも訪れたい山です。
八ヶ岳 赤岳

[All Photos by Masato Abe]

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