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【旅するように暮らす】私のオーストラリア物語 〜Vol.3 真夜中のプール

TABIZINE 2022年4月2日 7時30分

夢を抱いて日本を飛び出した24歳。泣きながらブリスベンを去った33歳。引き寄せられるように舞い戻った36歳。どうしてこの国は、こんなにも私の心を掴んで離さないのだろう……。暮らし旅ライター金子 愛がつづる、美しくも苦いオーストラリアでの日々。前回に続き「波乱続きのケアンズ旅行」をお届け!真夜中のプールには危険が潜んでいた……というお話。


またしても事件の始まり

第二回でお伝えした通り、タンクローリー爆発という思いがけぬ事故に遭遇した旅の最終日。疲れ果ててホテルにたどり着いたのは、日付が変わる少し前のこと。これでケアンズとお別れかと思うと、なんだか名残惜しい気持ちに。降り続いていた雨が止んだこともあって、「プールで泳ぎたい」と言い出したのは友人だったか私だったか。まさかそれがあんな事になるなんて……、この時の私達は知る由もありませんでした。

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真夜中のプール、忍び寄る影

滞在先のホテルでプールを使用できるのは夜10時まで、既に2時間以上が過ぎています。ロビーでダメ元で聞いてみると、「本当はいけないんだけど、ちょっとだけだよ」とウィンクで返してくれた警備員さん(ありがたや!)。そんな訳で無邪気に夜のプールを楽しむ二人。


しばらくすると、「僕も入って良い?」と突然声が……。振り返るとそこに現れたのは、かなり恰幅の良い50代くらいの白人男性(この人、さっきからずっとプール際を行ったり来たりして、こっちを見てた人だ)。

男性はあっという間に服を脱ぎ、プールの中へ。何が怖いって、彼が身につけていたのは水着ではなく、普通の下着だということ。「ジョーズ」のように近づくパンイチ男、恐怖からかその光景がスローモーションに見える筆者。「邦人女性2名、真夜中のプールで……」という新聞の見出しが頭をよぎります。

救世主現る!

「君、ここの滞在者?」パンイチ男に声をかけたのは、先ほどの警備員さん。「あぁ、そうだよ」と応答するパンイチに、すかさず「部屋番号は?」と畳み掛ける警備員さん。「……106」若干しどろもどろになるパンイチ。次の瞬間、警備員さんが放った一言に凍りつきます。

「そんな部屋番号、このホテルにはないよ」

治安が良いといえど、やはり海外

オーストラリアは比較的治安が良いと言われています。実際、筆者も10年以上暮らしていますが、事件に巻き込まれたことは一度もありません。しかし今回のように「一歩間違えたら」、という状況は何度かあったのも事実。

あの時、警備員さんがいなかったら私達はどうなってたか……、今考えてもゾッとします。ロビーからそっと私達を見守り、不法侵入のパンイチ男をつまみ出してくれた警備員さん。彼こそまさしくヒーローです。「旅行気分で浮かれていると、思わぬ事件に巻き込まれかねない」この事を身にしみて感じた出来事でした。

追伸:さぁ、ここまで来ればあとは日本に帰るだけ。しかし最後の最後で筆者、またしてもやらかします。が、それは又別のお話。

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