ドイツ観光局が主催するプレスツアーにTABIZINEライターが参加。首都ベルリンやドレスデンを巡り、バイエルン地方の小さな村オーバーアマガウへ。その後ミュンヘンも訪れました。各地の旅体験とともに、ドイツの今をレポートします。今回は、チーズやパン、ハーブなど、地域に根付く食文化をご紹介。バイエルン州の自然や伝統を大切に守っていく、地元の人々の姿に触れました。
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地元産ミルクでつくられるチーズ
ドイツ・バイエルン州のアマガウ・アルプス自然公園にある小さな村「Ettal(エタール)」でチーズ工場を営む「Schaukäserei Ammergauer Alpen(シャウケーゼライ アマガウナー アルペン)」。地域の30以上もの契約農家から、新鮮な牛乳を仕入れてチーズを製造しています。
こちらの地域では、1ヘクタールあたり養頭数は2頭までというガイドラインがあったりと、環境に配慮された飼育が実施されているそうなのですが、このチーズ工場で使う牛乳には、ほかにも厳しいガイドラインが設けられています。
例えば、牛の牧草地で化学農薬をしないことや、遺伝子操作の育種をしない、衛生管理の徹底や輸入飼料の禁止など、環境や食の安全に配慮した規定に沿って育てられた牛の牛乳のみが使われているというわけです。
数種のチーズを味比べ
店内に入るとチーズのいい香り。ハードタイプやセミハード、クリームタイプなど、10種類以上のチーズがショーケースに並んでいます。その中から3種類のチーズを試食させていただきました。
明るい黄色のチーズ「Ettaler Manndl Käse(エタラー マンドル ケーゼ)」は、この工場の人気商品。ハードタイプとのことですが、乾燥している感じはなくムチムチした食感で、子どもから大人まで好かれそうな優しい味でした。
パプリカで色づけられたオレンジ色のチーズ「Ammergauer Feuer Käse(アマガウナー フォイヤー ケーゼ)」は、少しピリ辛な口当たり。ビールのお供に合うようチャイブがミックスされた「Ammergau Bier Käse(アマガウナー ビアー ケーゼ )」は、ナチュラルなチーズの旨みにハーブが重なり、しっかりした味わいでした。
多くは地元の小売店で販売されているそうですが、ミュンヘンのスーパーでもこのチーズを偶然にも見かけましたよ。
店内からチーズ製造の現場をのぞき見
チーズのほかにもヨーグルトやバター、チーズケーキなどさまざまな乳製品が販売される店内。ガラス張りになった壁の向こうには、チーズを生産している現場を見ることができます。この日は牛乳をミックスしている製造過程の様子が見れたほか、熟成を待つチーズがたくさん並ぶ部屋もありましたよ。丁寧にチーズを作っている現場に安心感を得られました。
17世紀から続くパン職人の12代目がつくる伝統のパン
昔ながらのパンを披露してくれたのは、バイエルン北部の「Dachsbach(ダックスバッハ)」という町のパン職人「Arnd Erbel(アルント・エルベル)」さん。なんと、1680年から続くパン職人の家系の12代目! 自身でパン製造の基準を自由に決められるという、「Freibäcker(フライベッカー)」なるタイトルをドイツで唯一保持しているのだそうです。
昔ながらの製法を守り抜く
最新の機械を使わずにパンを焼く、というのも彼のスタイル。素材を自由に選び防腐剤を使わず、彼のセンスでパンを焼いていくのだといいます。プレッツェルやジンジャーブレッドのほか、伝統的なバイエルン地方のパンを製造しているそうです。
香ばしいピザのようなパンに名物チーズをのせて
目の前で焼いてくれたのは、丸く平らに伸ばしたピザのような形のパン。上には、この地方の名物のチーズ「Schmand(シュマント)」をたっぷりとかけて焼き上げます。外側はカリカリ、シュマントがのっている部分はしっとりした食感でした。
ちなみに、このシュマントというチーズは熱してもとろけないというのが特徴らしく、ドイツではチーズケーキの素材としても使われるのだとか。クリームチーズよりさっぱりしていてサワークリームより濃厚で、クセになる味わいでしたよ。
バイエルン州に古くから自生するハーブたち
ハーブを使うデモンストレーションもありました。バイエルン州では、数千年も前から野生のハーブを薬草として活用してきた、という歴史があるのだといいます。バイエルン州南西部のアルゴイ地区には、古くからアストランティア、アルニカ西洋イラクサなどのハーブが自生しており、16世紀にはすでにウマノミツバが創傷治癒に使われていたのだとか。
アルゴイ地区には、「Allgäu Kräuterland(アルゴイ・クロイターランド )」と呼ばれるハーブ農園があり、7月から9月にかけてハーブやチーズ、自然をテーマにしたイベントを開催し、ハーブの知識や食文化を伝えています。
オリーブオイルとともにペースト状に
今回は、セージ、タイム、ルッコラなどの複数のハーブをオリーブオイルと一緒にミキサーでミックスし、ペースト状にしたものをパンにたっぷり塗って出してくださいました。薬草としても注目されるハーブなので、草の強みや薬っぽさを想像したのですが、オリーブオイルがまろやかな口当たりにしてくれて、口の中に優しく広がります。ニンニク風味のない、濃厚なジェノベーゼソースといった感じ。
チャイブやカモミールなどのカラフルなお花を添えれば、見た目も華やかに。美しく仕上げられたことで、健康的なハーブのペーストがよりおいしく感じられました。
自然を守りながら地域の食文化を伝えたり、伝統の手法を守り抜く職人の姿に触れ、バイエルン州をより身近に感じる体験となりました。
[all photos by minacono]
Please do not use the photos without permission.
[参照]
・Schaukäserei Ammergauer Alpen(ドイツ語): https://www.schaukaeserei-ettal.de/
・Freibäcker Arnd Erbel(ドイツ語): https://arnderbel.de/
・Allgäu Kräuterland(ドイツ語): https://allgaeuer-kraeuterland.de/
取材協力:ドイツ観光局
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こちらの地域では、1ヘクタールあたり養頭数は2頭までというガイドラインがあったりと、環境に配慮された飼育が実施されているそうなのですが、このチーズ工場で使う牛乳には、ほかにも厳しいガイドラインが設けられています。
例えば、牛の牧草地で化学農薬をしないことや、遺伝子操作の育種をしない、衛生管理の徹底や輸入飼料の禁止など、環境や食の安全に配慮した規定に沿って育てられた牛の牛乳のみが使われているというわけです。
数種のチーズを味比べ
店内に入るとチーズのいい香り。ハードタイプやセミハード、クリームタイプなど、10種類以上のチーズがショーケースに並んでいます。その中から3種類のチーズを試食させていただきました。
明るい黄色のチーズ「Ettaler Manndl Käse(エタラー マンドル ケーゼ)」は、この工場の人気商品。ハードタイプとのことですが、乾燥している感じはなくムチムチした食感で、子どもから大人まで好かれそうな優しい味でした。
パプリカで色づけられたオレンジ色のチーズ「Ammergauer Feuer Käse(アマガウナー フォイヤー ケーゼ)」は、少しピリ辛な口当たり。ビールのお供に合うようチャイブがミックスされた「Ammergau Bier Käse(アマガウナー ビアー ケーゼ )」は、ナチュラルなチーズの旨みにハーブが重なり、しっかりした味わいでした。
多くは地元の小売店で販売されているそうですが、ミュンヘンのスーパーでもこのチーズを偶然にも見かけましたよ。
店内からチーズ製造の現場をのぞき見
チーズのほかにもヨーグルトやバター、チーズケーキなどさまざまな乳製品が販売される店内。ガラス張りになった壁の向こうには、チーズを生産している現場を見ることができます。この日は牛乳をミックスしている製造過程の様子が見れたほか、熟成を待つチーズがたくさん並ぶ部屋もありましたよ。丁寧にチーズを作っている現場に安心感を得られました。
17世紀から続くパン職人の12代目がつくる伝統のパン
昔ながらのパンを披露してくれたのは、バイエルン北部の「Dachsbach(ダックスバッハ)」という町のパン職人「Arnd Erbel(アルント・エルベル)」さん。なんと、1680年から続くパン職人の家系の12代目! 自身でパン製造の基準を自由に決められるという、「Freibäcker(フライベッカー)」なるタイトルをドイツで唯一保持しているのだそうです。
昔ながらの製法を守り抜く
最新の機械を使わずにパンを焼く、というのも彼のスタイル。素材を自由に選び防腐剤を使わず、彼のセンスでパンを焼いていくのだといいます。プレッツェルやジンジャーブレッドのほか、伝統的なバイエルン地方のパンを製造しているそうです。
香ばしいピザのようなパンに名物チーズをのせて
目の前で焼いてくれたのは、丸く平らに伸ばしたピザのような形のパン。上には、この地方の名物のチーズ「Schmand(シュマント)」をたっぷりとかけて焼き上げます。外側はカリカリ、シュマントがのっている部分はしっとりした食感でした。
ちなみに、このシュマントというチーズは熱してもとろけないというのが特徴らしく、ドイツではチーズケーキの素材としても使われるのだとか。クリームチーズよりさっぱりしていてサワークリームより濃厚で、クセになる味わいでしたよ。
バイエルン州に古くから自生するハーブたち
ハーブを使うデモンストレーションもありました。バイエルン州では、数千年も前から野生のハーブを薬草として活用してきた、という歴史があるのだといいます。バイエルン州南西部のアルゴイ地区には、古くからアストランティア、アルニカ西洋イラクサなどのハーブが自生しており、16世紀にはすでにウマノミツバが創傷治癒に使われていたのだとか。
アルゴイ地区には、「Allgäu Kräuterland(アルゴイ・クロイターランド )」と呼ばれるハーブ農園があり、7月から9月にかけてハーブやチーズ、自然をテーマにしたイベントを開催し、ハーブの知識や食文化を伝えています。
オリーブオイルとともにペースト状に
今回は、セージ、タイム、ルッコラなどの複数のハーブをオリーブオイルと一緒にミキサーでミックスし、ペースト状にしたものをパンにたっぷり塗って出してくださいました。薬草としても注目されるハーブなので、草の強みや薬っぽさを想像したのですが、オリーブオイルがまろやかな口当たりにしてくれて、口の中に優しく広がります。ニンニク風味のない、濃厚なジェノベーゼソースといった感じ。
チャイブやカモミールなどのカラフルなお花を添えれば、見た目も華やかに。美しく仕上げられたことで、健康的なハーブのペーストがよりおいしく感じられました。
自然を守りながら地域の食文化を伝えたり、伝統の手法を守り抜く職人の姿に触れ、バイエルン州をより身近に感じる体験となりました。
[all photos by minacono]
Please do not use the photos without permission.
[参照]
・Schaukäserei Ammergauer Alpen(ドイツ語): https://www.schaukaeserei-ettal.de/
・Freibäcker Arnd Erbel(ドイツ語): https://arnderbel.de/
・Allgäu Kräuterland(ドイツ語): https://allgaeuer-kraeuterland.de/
取材協力:ドイツ観光局
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