久々のゴールデンタイムの学園ドラマ『学校のカイダン』、皆様いかがでしたでしょうか?今をときめく広瀬すずさんの初主演作、演説シーンの迫力や表情の演技など、もちろん広瀬さんの演技も光っていましたし、相手役である天才役者、神木隆之介さんの演技も全く申し分ありませんでした。しかし、土9という美味しい時間ながらも、平均視聴率9.2%、最終回は8.3%という微妙な数値に…。今回は、そんな時代を作ってきた「学園ドラマ」について掘り下げてみようと思います。
現代学園ドラマの傾向は?
『学校のカイダン』の主人公を演じる広瀬すずさんは16歳。役どころとベストマッチな年齢です。能年玲奈さんがオファーを断ったから…などという噂もながれていますが、実はこれは異例の抜擢なのです。
ここ数年のゴールデンタイムの学園ドラマは『ごめんね青春!』『弱くても勝てます~青志先生とへっぽこ高校球児の野望~』『地獄先生ぬ~べ~』『GTO』『黒の女教師』など、「先生」が主人公。先生役にメインキャストを置き、周りに生徒をちりばめる方式が主流です。もちろん、学生が主人公の作品も多く存在はしますが、深夜枠がほとんどという現状です。
そして、ジャニーズもしくはAKBドラマ以外では、登場人物も高校生ではないことが多いです。たとえば山本裕典さん。『桜蘭高校ホスト部』の頃は23歳、『山田くんと7人の魔女』では25歳でした。ヒロイン役の川口春奈さんは現役高校生、『アスコーマーチ!』でも武井咲さんや剛力彩芽さんなど女性陣は高校生でしたが、大卒の俳優さんが増え、男性俳優のデビュー年齢が上がっていることもあるのか、松坂桃李さんも賀来賢人さんも永山絢斗さんも既に成人されていました。
2000年代前半は高校生主演ドラマ目白押し
2000年代前半は『花より男子』『ごくせん』『花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス~』『野ブタ。をプロデュース』など、たくさんの学園ドラマがヒットしました。
『ごくせん』は教師主役で、生徒は20歳前後。『野ブタ』のメイン亀梨和也さんと山下智久さんは19~20歳、『花より男子』のF4も放送当時で19~23歳。映画版まで3年ありましたから、阿部力さんは26歳になっていました。『花より男子』の井上真央さんは18歳。堀北真希さんは『野ブタ』では16歳、『イケパラ』では20歳でした。『イケパラ』での生田斗真さんは22歳、小栗旬さんは24歳。現在の深夜帯ドラマと条件的にはほぼ一緒です。
『野ブタ』では、深夜ドラマなどで一部に大人気だった堀北真希さんが抜擢され話題となりましたが、井上さんや、13歳で『14才の母』に主演した志田未来さんなどは、「天才子役が学生の年齢になるのを待った」イメージがあります。同ドラマに出演した三浦春馬さんは16歳で出演されましたが、やはり子役出身です。
創生期から金八世代
テレビ創生期は、大学や高校を出てから役者を志すことが多く、高校生役でも20代後半~30代がザラでした。状況が変わったのは、80年代のアイドルブームではないでしょうか?
『金八先生』など、実年齢に合った生徒が出演するリアルなドラマが人気を博し、また「おニャン子クラブ」など、現役学生のみのアイドルグループも誕生しました。必然的に15歳前後~大学生くらいのアイドルタレントが増え、ゴールデンタイムにはニーズの高いアイドル達が主演することも多くなりました。
『金八先生』は時代時代を反映させるのが特徴。「子どもの性」「学校崩壊」「無気力」「いじめ」「ひきこもり」「殺人」「第三の性」「薬物依存」「モンスターペアレンツ」など、時代毎の問題を提議し、その都度話題となりました。
年々視聴率が下がってきていましたが、学園ドラマに影響力があったことは間違いありません。現在は中学生がメインのリアル学園ドラマは存在せず、必然的に大学卒業後に頭角を現したような、キャリアの短い若手俳優が主演になる事が多いために、深夜帯での放送が多くなっているのかもしれません。
志田未来さんや井上真央さんなどのように、子役として実力を付けた俳優さんならば、ゴールデンタイムの主演を高校生で演じることがあるかもしれません。人気子役だった吉田里琴さんが15歳になり、今後の学園ドラマへの出演がとても楽しみです。そしてなにより注目したいのは、芦田愛菜さん、鈴木福くんをはじめ、本田望結さん、鈴木梨央さん、桜田ひよりさんなど、現在10~12歳の子役タレントさんたちです。この年代は実力派ぞろい。今後の3~5年後の学園ドラマが、今から楽しみでなりません。
文/藤原ゆうこ