気持ちや妄想を補完してくれたり、未来へのわくわく感を増してくれたりするドラマ。特に思い入れのあるドラマだと、同じグッズや小物を欲しくなったり、つい服装や髪形を真似したくなったりするもの。そんな、私たちに影響を与えたドラマから流行したモノ・コトを10個選んでみました。
あの人と同じ格好がしたい!「真知子のストール」「リカの紺ブレ」「青島のモッズコート」
ドラマからブームになったファッション。古いもので言えば、家庭にお風呂がない時代に、「番組放送時間になると銭湯の女湯がガラガラに」と話題になった『君の名は』の「真知子巻き」でしょう。ストールを頭から首にかけて巻くのが大流行しました。映画版の主演女優である岸惠子さんが、寒さ避けのためアドリブでやったファッションとの事。映画ドラマから数年、冬の定番ファッションになりました。
そして、バブル期に流行ったファッションと言えば「渋カジ」。もともと流行ってはいたのですが、名作『東京ラブストーリー』で一気に全国区に。タートルネックのニットやカーディガン。タックの入ったキュロットスカート、濃い目の色タイツに金ボタンのダブルの紺ブレザー。特徴的なバックルのついたベルトでウエストを強調するスタイルが大流行しました。この服装、ニット素材など軟らかい素材が多いので、露出が少ないのに体のラインがしっかり出て、結構セクシーでした。
1995年の『愛していると言ってくれ』で常盤貴子さんが使っていた小さめリュックも流行りました。ガーリーな服装にチョーカーなどの中世的なアクセサリーにリュック、という服装の女子がたくさんいました。これは映画『レオン』の、少女なのにちょっとセクシーな少女マチルダの影響もあるかもしれません。
そして男女ともに大流行したのが、通称「青島コート」とも呼ばれたモッズコート。スーツにモッズコートを着る若者が大量発生。今では女子も私服に取り入れるほど一般化し、「青島」という印象よりも、スタンダードファッションの一つとして受け入れられています。古くは映画『探偵物語』で松田優作さんがスーツの上にマクレガーのダウンジャケットを着て、多くの人が真似をしました。今でも別に違和感はありませんし、「ドラマ真似」とも思われません。青島コートも同様に既に一般化したということでしょうか。
キムタク着用アイテムはどれも爆発的人気に!「取手メガネ」「ロレックスエクスプローラー」「久利生ジャケット」
木村拓哉さんがドラマで着用していた服やグッズは軒並み大ブームになりました。やはりどうしたってカッコイイですから。
1993年の『あすなろ白書』では、対抗馬の取手くん役でしたが、黒縁メガネがとっても似合っており「むしろ取手くんがイイ!」と日本中にメガネ男子好きな女子を増やしました。1997年の『ラブジェネレーション』では、木村さんの私物というロレックスのエクスプローラーが大ブームに。当時は入手も困難になるほどでした。2000年『Beautiful Life ~ふたりでいた日々~』では、彼の乗っていたバイク・ヤマハのTW200が。カスタム車でしたが、ファンは同じようにカスタムしていたのですぐわかりました。2001年から放送された『HERO』では、言わずと知れたA BATHING APEのダウンジャケット。人気過ぎてプレミアがつくほどでした。
小道具でドラマの世界に浸りたい「バカラのりんご」「土星のネックレス」「エルメスのティーカップ&ベノアの紅茶」
ファッションだけでなく、ドラマに出てきた小物なども欲しくなってしまいます。主人公と同じ格好で成りきるほどではなく、こっそりとドラマの世界を堪能できるのかもしれません。
前出の『ラブジェネレーション』で、「愛の象徴」として出てきた「ガラスのりんご」も愛のプレゼントとして大流行しました。なんとこのりんご、ドラマに出てきたバカラの製品だとおよそ4万円程度。確かに他の「ガラスのりんご」と比べると、キレイに透き通っており見た目も素晴らしく、値段が高いのも頷ける一品でした。
愛の象徴といえば、2005年に放送された『花より男子』。パート2で道明寺がつくしにプレゼントした土星のネックレスです。クリスマスプレゼントや告白に使うため、男子がこぞって購入していました。こちらは特注品なので同じ製品は販売しておらず、公式で一回り小さ目なものを販売していました。・・・がすでに終売。お値段はピンキリですが、同じようなデザインの商品が今も販売されているようです。
ネットで話題となった実話をドラマ・映画化した『電車男』。伊藤淳史さんの再ブレイク作です。そこで電車男さんにプレゼントされたのがエルメスのカップセットでした。そしてベノアの紅茶。セットでプレゼントする事がブームになりました。ドラマファンやネットファンがベノアに大集合し、品切れで購入できない茶葉があったほどです。
「キャラコピー」でなりきる「ドジっ子キャラ」他
日本中が聖子ちゃんカットだった80年代、新入生・新入社員がこぞって自己紹介で「ドジ」アピールをしていたそうです。
これは明らかに『スチュワーデス物語』の主人公・松本千秋の影響です。ドジなのでしょうがない、ドジなので守らなきゃ、一生懸命に頑張る姿が健気なのです。「ドジ=カワイイ」が定着し、しっかり者が「可愛げがない」と言われる始末。実際のところは、本当にドジな子よりも、なんてことのない軽いドジを踏むような計算のできる賢い子がモテている気もしますが・・・。
これほどの“猫も杓子も状態”ではありませんでしたが、こんな「キャラコピー」は定期的に流行してきました。W浅野時代は、家事が苦手で仕事に恋に生き、男に選ばれるのではなく、男を選ぶ「イケてる高い女キャラ」が。『ロングバケーション』が流行った頃は、山口智子さんのような自然体の「サバサバキャラ」。篠原涼子さんの「アネゴキャラ」を真似する女性が量産されました。
今は、小悪魔チックな可愛らしさを追求した「あざとモテキャラ」でしょうか?「男ウケを狙ってますけどそれが?」「私可愛いですから」と開き直った可愛らしさがむしろすがすがしいのかもしれません。『失恋ショコラティエ』の紗絵子(石原さとみさん)や、『問題のあるレストラン』川奈藍里(高畑充希さん)など、パステル系の色合いで、カーディガンなどの優しい素材やベージュのジャケットなどのゆったりした服装。清楚系の黒髪でありつつ、ゆらゆら揺れるゆるふわカールのロングヘア。ちょっと天然ぶるところが「支えたく」なってしまうのでしょうか。
近年はドラマを見る人口が減っているせいか、テレビやドラマからの流行は少なくなっているのかもしれません。青島コートや久利生ジャケットのように、「大流行」になるような影響力のあるドラマ、これからもぜひ出てきてほしいですね。
今回選ばせていただいた、“ドラマからの流行”10選
『真知子のストール』
『リカの紺ブレ』
『青島のモッズコート』
『取手メガネ』
『ロレックスエクスプローラー』
『久利生ジャケット』
『ラブジェネ バカラのりんご』
『花より男子 土星のネックレス』
『Hermesのティーカップ&ベノアの紅茶』
『ドジっ子キャラ』
文/藤原ゆうこ