人生には恋愛や結婚が付きもの。特に女性が何かを成し遂げる為には旦那様の力が大きいもの、逆もまた然りです。大抵のドラマは、ヒロインが恋をして結婚するのも大きな流れの一つ。そんな恋愛ドラマには、女性をしっかり支えてくれたり、支えたくなるような素敵な旦那様がたくさん出てきます。今回はそんな、ドラマの中のお似合い夫婦を何組かピックアップしてご紹介したいと思います。
互いを認め合い、高め合う夫婦
阿部寛さん演じる仕事人間のCMディレクター。横暴がたたり閑職へ、さらにリストラされてしまった男、山村和之が悪戦苦闘しながらも、主夫として父として成長していく『アットホーム・ダッド』。
主婦だった妻、美紀は結婚前に勤めていた出版社に復帰、さらに能力を買われて社員へと起用されます。多少ご都合主義すぎるかもしれませんが、そこは御愛嬌。妻の美紀は、仕事と家庭の両立、家庭に入る事で起こる親戚トラブルや近所との付き合いにも理解があり、主夫の和之の苦しみも一通り既に経験済み。自身の仕事を通して、仕事人間だった和之の苦労もより理解していくようになります。そして、それは和之も同様。バカにしていた専業主婦の苦労、仕事と「母」を両立する美紀へのリスペクトなど、回を追うごとに夫婦が互いの理解を深め合っていくのが分かります。
そして、干物女の生態が話題となった『ホタルノヒカリ』。主演の綾瀬はるかさんの甘えた干物っぷりが可愛らしく、振り回されるお世話係の部長の男前っぷりもたまらない素敵な作品でした。主演カップルも大変素晴らしいのですが、バツイチ二ツ木さんとキャリアウーマンの山田姐さんの、等身大の苦悩や、お互いのダメな所を慈しみ合う姿も微笑ましくて素敵です。
二ツ木さんは人が良く、別れた元妻の家族にも愛されています。あまりに優しすぎて、そちらの家族にも良い顔をしてしまい、山田姐さんから浮気を疑われる事も・・・。山田姐さんも、そんな少し情けない二ツ木さんを「支えなくては」と専業主婦になる事も考えますが、やはり仕事を捨てられずに悩みます。結局二ツ木は、「一生添い遂げられる女を見つけた」と元妻家族に報告し、姐さんも「カワイイ専業主婦になれない」と告白。「三歩後ろをついていきます。時々振り向いてくれる?」という二ツ木さんが、山田姐さんを尊重し、互いの愛情を高めていこうという気持ちが伝わってきます。
最後にロングランドラマ『法医学教室の事件ファイル』。連続ドラマとして人気がでて、現在は二時間サスペンス枠で放送されています。仕事も家事もしっかりとこなしながらも事件が気になってしまい、色々なトラブルに首を突っ込んでしまう、法医学者の妻・早紀。自由で奔放、少しわがままな性格で、ゼミの学生や助手をこき使います。それは夫に対しても同じ。夫である二ノ宮刑事もなんだかんだと振り回されます・・・。
一見三組とも、男性が奥さまを支えているように見える夫婦ですが、それは奥さまもしかり。お互いが「家族」や「夫婦」をより良くしようという気持ちと努力が素敵です。
互いに支え、互いに感謝出来る夫婦
自由な奥さまを支える旦那さま・・・といえば、やはり伝説のほのぼの昼ドラ『ぽっかぽか』の慶彦でしょう。妻の麻美は美人で適当で奔放な専業主婦。“ダラ奥”ではありますが子育てはしっかり。考え方もフラットで、他人にも家族にも裏表や差別なく挑む大変魅力的な女性です。そして何よりも彼女が魅力的なのは、夫の慶彦の気持ちを尊重し、感謝の気持ちを忘れないばかりか、娘のあすかに対しても、夫同様に気持ちの尊重と感謝を忘れないところ。この夫婦を理想とする方も多いのではないでしょうか?
『ナースのお仕事』のいずみも麻美同様、自由でグウタラ。さぼるところはさぼり、ドジで人に迷惑をかける事も多いですが、人の体や気持ちを傷つけたり、さぼって人に迷惑をかけるような事はありません。そして、ご飯を作ったり掃除をしてくれた上に努力する高杉をリスペクトし、感謝の気持ちは決して忘れません。また、高杉のいけないところをしっかりと叱る強さもあります。
大ヒットドラマ『踊る大捜査線』からは、サブキャラながらも主演映画も制作された真下正義と柏木雪乃。雪乃の事が好きで好きで仕方ない真下と、それに応えた雪乃・・・という印象が強いですが、真下がしっかり雪乃を支え、雪乃もそれに応える関係は夫婦として理想的です。無気力キャリア組だった真下が、被害者や市民の気持ちに寄り添う熱い警察官になったのも、雪乃を思う気持ちがあったからこそでしょう。雪乃役の水野美紀さんをファンやスタッフが熱望したのも、それだけこのカップルの絆に心打たれた方が多かったからに他ありません。
2002年にドラマ化され、複数回映画化された『海猿』の環菜も、夫を支え、夫の帰りを信じて待つ素晴らしい奥さまです。大輔の夢や救助に対する気持ちに触れ、自分の夢を取り戻しただけでなく、「人の命を預かる」という重い任務を背負った大輔を支えよう、待とう、信じようという強い気持ち。大輔にとって、もっとも心を強くしてくれる存在が彼女です。常に危険と隣り合わせな夫という、なかなか現実にはない関係ではありますが、だからこそ見える夫婦の信頼や思い。理想の夫婦像のひとつと言えるのではないでしょうか。
ケンカするほど仲がいい?名物夫婦
二人の掛け合いが素晴らしい夫婦といえば、初代『相棒』の亀山刑事と、奥さまで記者の美和子さんなどはいかがでしょうか?二人はいわゆる友達夫婦。お互いの欠点をからかいながらも心の底では通じ合っています。なれ合いが過ぎて、他の男性に心が揺れてしまう事もありましたが、そこはやはり学生時代からの腐れ縁。美和子さんが薫ちゃんの元に帰ってきてくれて本当に良かったです。
最近の仲良し夫婦といえば、『信長協奏曲』の信長になり変わった高校生・サブローと信長の正妻・帰蝶でしょう。夫が偽物と気が付いても、逆にケンカを売ってはぐらかすところなど、可愛くてたまりません。好きだからこそ意地悪を言うなんて、ツンデレの極みです。少し子供っぽい夫婦関係がまた可愛らしい2人です。
いつまでもかわいい!ラブラブ夫婦
朝ドラ『あさが来た』で、愛され奥さま白岡よのを演じる風吹ジュンさん。キュートで優しく、夫や息子や嫁、さらに孫の意見をも尊重する素晴らしいお母様です。もちろん主人公のあさと新次郎さん夫婦も素敵ですが、本人たちの言う通り、正吉(近藤正臣さん)とよの夫婦のラブラブ度には勝てません。
昨年の月9ドラマ『デート ~恋とはどんなものかしら~』。ニート男・巧の母・留美も、寛容ながら真っ直ぐで正しく、許す心も持っている素敵な女性。長く離れて暮らしていた夫の努さんの住むアパートに通い妻をしてしまうほどのラブラブっぷり。とにかく可愛いです。旦那様からの奥さまを本当に慈しんでいる視線も単純に羨ましい・・・。少し特殊な関係ではありますが、こんな風に想い合える夫婦もまた素敵な関係と言えるでしょう。
人によっては「結婚とは我慢」「結婚とは妥協を繰り返す事」という人もいます。確かに誰かと一緒に暮らすには、どこかしら相手に合わせなくてはいけませんから、多少の我慢は必要でしょう。しかし、それは決して全てを我慢する事ではありません。「互いに許せる事は許す」「我慢して良い結果になる事なら我慢」し、お互いに「妥協」を繰り返し、そして妥協してくれるパートナーに対して“感謝”の気持ちを忘れずに、互いのベストなポイントを見つけていく事が重要なのでしょう。
今回上がったお似合いのご夫婦は、どの方も「ある程度の我慢」「ある程度の妥協」を“相手の為”にしています。決して「面倒だから」「好きだから」と自分を押し殺したりはしません。そんな風に“相手のため”をしっかりと考えられれば、理想の夫婦への道は意外と遠くないのかもしれません。
文/藤原ゆうこ