広瀬すずさん、波瑠さん、三吉彩花さん、西内まりやさん、新川優愛さん…今をときめくヒロイン女優たち。彼女たちの共通点はなんでしょう?それはファッション雑誌『Seventeen』の専属モデル、または出身者たちです。このほかにも現在活躍中の注目女優を多数輩出しているSeventeenモデル。彼女たちが女優として重宝される理由とは…。
2003年ごろ鈴木えみ、田中美保らの女優進出でSeventeenの注目度が高まる
Seventeenでは1970~80年代に『ミスセブンティーン』と題した芸能オーディションを開催。松田聖子さん、工藤静香さんらを輩出していましたが、現在行われている『ミスセブンティーン』は専属モデルオーディションを選ぶ趣旨のものになっています。
Seventeen専属モデルとして芸能展開で注目され始めたのは2002~2003年ごろ。当時同誌のトップモデルだった鈴木えみさん、田中美保さん、浅見れいなさん、徳澤直子さんらが注目され、女優、タレント活動にも進出しました。特に鈴木さんは『ロング・ラブレター~漂流教室~』『WARTER BOYS2』などドラマに多数出演、女優としても大人気になりました。
2000年代半ばから北川景子、榮倉奈々の活躍で“STモデル→女優”がブレイクの方程式に
2000年代半ばから末にかけては、現在多くのドラマ、映画で主役を張る北川景子さん(ミスセブンティーン2003、2006年卒業)、榮倉奈々さん(2002年~2009年)らがSeventeenモデルとして活躍。また、北川さんと同期の水原希子さんや、本田翼さんらもこの時代、同誌で活躍していました。彼女らの人気で、Seventeenモデルから人気女優へというのが、ひとつのブレイクの方程式となりました。
2010年前後には波瑠、桐谷美玲、武井咲ら続々女優進出
さらに2010年前後では、波瑠さん(2007年~2012年)、大政絢さん(2007年~2010年)、桐谷美玲さん(2006年~2011年)、武井咲さん(2006年~2012年)、剛力彩芽さん(2008年~2013年)といった、現在のドラマ、映画シーンのトップランナーの若手が専属モデルとしてズラリと顔を並べます。また橋本愛さんもこの時期のSeventeenモデルとして活躍(2009年~2014年)。映画では、クールなキャラクターの役柄が多い印象の橋本さんですが、モデル時代は誌面で弾けるような笑顔も見せていました。この時代になると、大手プロダクション所属の新人女優が、その最初の足掛かりとしてSeventeenのモデルからデビューさせるというケースも目立ってきました。
森川葵、新川優愛ら近年の“ミスセブンティーン”からも逸材が続々
近年では、月9ドラマ『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』の東北弁少女役などで人気の森川葵さんは2010年にミスセブンティーンに選ばれ、昨年まで専属モデルを務めました。また女優活動のほか、『王様のブランチ』のアシスタントMCとしても人気の新川優愛さんは『ミスセブンティーン2011』。同じく昨年まで専属モデルでした。また女優として『ホテルコンシェルジュ』『山田くんと7人の魔女』などに出演した西内まりやさんは2010年から昨年まで専属モデルを務めました。
広瀬すず、三吉彩花ら現役モデルにも人気女優が多数
そして現役モデルでは、ドラマ『エンジェル・ハート』ヒロインなどで注目の三吉彩花さんは『ミスセブンティーン2010』に選ばれ、現在エースモデルとして活躍中。映画『セトウツミ』(7月公開)でヒロインを務めるほか、大量出稿のNTTドコモ『dポイント』のCMでも注目されている中条あやみさんは2011年の『ミスセブンティーン』。そして映画、ドラマと次々にヒロインを演じる広瀬すずさんは『ミスセブンティーン2012』。そのお姉さんの広瀬アリスさんも『ミスセブンティーン2009』で昨年まで同誌で専属モデルを務めました。
ほかにも、ドラマ『お迎えデス。』などに出演する飯豊まりえさん、映画『仮面ライダー1号』のヒロインを演じたほかバラエティ番組にも多数出演している岡本夏美さん、アイドルグループ・アンジュルムのメンバーとしても活躍する佐々木莉佳子さんなど、今後のブレイクが期待される現役Seventeenモデルも多数います。
ファッション誌モデルがドラマ、映画で重宝される理由
女性タレント・モデルにとって、デビュー時にSeventeenなどティーン向けのファッション誌のモデルを務めることは、同世代の女性の圧倒的な支持を得られるのが大きなメリットです。ドラマの制作サイドとしては、視聴者になり得る若い女性の支持を得ているモデル出身の女優はありがたい存在なのです。
また本格的に女優デビューする前にファッション誌の撮影を継続的に経験することで、自然な笑顔やポーズなど表現力が身についていきます。演技レッスンももちろん大事ですが、こうした実戦の現場で経験を積むことは貴重な経験となります。
これから女優として売り出したいという逸材をティーン向けファッション誌でデビューさせたいと考える芸能プロダクションは多く、雑誌側としても女優としてブレイクできそうな逸材をはやい段階から取り込めるのはメリットが大きく、両者ウィンウィンの関係となります。
雑誌不況と言われる中、最近では乃木坂46、AKB48グループ、ハロー!プロジェクトなど人気アイドルグループのメンバーを積極的にモデルに起用、彼女たちのファンも読者に取り込もうという動きもあります。ドラマ界でも、10代の視聴者離れというのは深刻な問題。そんな中、ブレイク期待の女優&アイドルと、ティーンズファッション誌、ドラマの3者の結びつきはさらに強くなることと思われます。
文/田中裕幸