今も昔も、ドラマとは切っても切り離せないもの、主題歌。名作と呼ばれるドラマは、どの作品も素敵な主題歌とセットで記憶に残っているのではないでしょうか?『東京ラブストーリー』の「ラブ・ストーリーは突然に/小田和正」や、『101回目のプロポーズ』の「SAY YES/CHAGE and ASKA」など、中高年なら知らぬ人はいない、言うに及ばぬ名作&名曲です。
今回は、そんな歴代ドラマ主題歌の中から、筆者の心に残る、特に印象的だったドラマと主題歌を紹介させて頂ければと思います。作品を知らない若い世代の方は、是非一度楽曲を聴いて頂き、ドラマとセットで楽しんでもらえると嬉しいです。なお、筆者の独断と偏見で選ばせて頂いておりますので、チョイスに偏りがある場合はなにとぞご容赦ください。
高校教師『ぼくたちの失敗/森田童子(1993年)』
1993年に放送された、教師と生徒の恋愛を描いた名作。教師役に真田広之さん、生徒役を桜井幸子さん(2003年版は藤木直人さん・上戸彩さん)が演じ、その映像美、視聴者を離さないスリリングな展開、物議をかもした最終回など、ドラマ史に大きな衝撃を与えた1作となりました。そして同作の魅力のひとつであり、作品のインパクトを最大化したのが、主題歌「ぼくたちの失敗/森田童子」です。
それまでのドラマ作品では考えられないような暗く寂しい主題歌。ドラマ自体も明るいものではありませんでしたが、この曲調の暗さと寂しさ、そして印象的なメロディは、深く視聴者の心に染み渡りました。このドラマの主題歌でなければ、ここまで多くの人が「ぼくたちの失敗」を知ることは無かったでしょうし、逆にこの主題歌だったからこそ、『高校教師』は名作として語り継がれるようになったと言えます。
3年B組金八先生『贈る言葉/海援隊(1979年)』
ドラマ主題歌として、決して忘れる事の出来ない1曲。世代を問わず、日本人なら誰もが知る名曲中の名曲「贈る言葉/海援隊」。その後、何作もシリーズとして放送され、人気を博した「金八先生」ですが、やはり主題歌としてもっとも記憶に残っているのは、この「贈る言葉」ではないでしょうか?
誤解のないように補足しておきますと、「人として」「声援」「スタートライン」などなど、その後のシリーズの主題歌も素晴らしい楽曲ばかりです。胸に染みるメロディ、心に残る暖かな歌詞、そして武田鉄矢さんの優しい歌声。『金八先生』がここまでの国民的ドラマとなった背景には、海援隊による主題歌の力が大きく影響している事は間違いないでしょう。
パパとなっちゃん『あなたに会えてよかった/小泉今日子(1991年)』
ストーリーやキャラクターに感情移入しやすいのがドラマの特徴だとすると、金八先生のように“主演の役者さんと主題歌の歌い手が同じ”というのは、なんとなく心に残りやすいのかもしれません。
ここで紹介する『パパとなっちゃん』も、ドラマで娘役を演じているのは、主題歌を歌う小泉今日子さん。父親役の田村正和さんとの絶妙な距離感や、親子としての強い絆、リアルな人間臭さなど、親世代は親側に、若い世代は娘側に共感し、大人気となりました。そして主題歌「あなたに会えてよかった」。本来は恋愛の気持ちを歌った曲なのでしょうが、ドラマのストーリーの中で流れると、どうしても娘から父への言葉に聴こえてくる不思議。ドラマとセットで聴いて頂きたいお薦めの一曲です。
もしも願いが叶うなら『ただ泣きたくなるの/中山美穂(1994年)』
こちらも前の2曲と同じく、主演と歌い手が同じという組み合わせ。主役である毛利未来を演じ、主題歌「ただ泣きたくなるの」を歌ったのは“みぽりん”こと中山美穂さん。彼女の少し鼻にかかる特徴的な歌声と切ないメロディ、等身大の女心を描いた歌詞がどうにもこうにも頭から離れません。
中山美穂さんの周りを固めるキャストも、ダウンタウンの浜田雅功さん、元FLYING KIDSの浜崎貴司さん、To Be Continuedの岡田浩暉さんと(不思議な)魅力満載です。ちなみに挿入歌となっている岡田浩暉さん(To Be Continued)の歌う「君だけを見ていた」もまた素晴らしい名曲です。
ポケベルが鳴らなくて『ポケベルが鳴らなくて/国武万里(1993年)』
そして、今回紹介させて頂く最後の5作品目は、1993年に放送されたドラマ『ポケベルが鳴らなくて』の主題歌、国武万里さんの「ポケベルが鳴らなくて」。タイトル通り、まさに主題歌です。
このドラマはおじさんと若い女性の恋愛を描いたいわゆる不倫もの。ヒロインを演じたのは裕木奈江さん、相手役のサラリーマン(不倫相手)には緒形拳さん。今では珍しくもない設定や展開ですが、当時はなかなかのドロドロっぷりに衝撃を受けたものです。ところで若い読者の皆さんは、“ポケベル”という単語、きちんとご理解頂けていますでしょうか・・・?
「印象的だった懐かしのドラマ主題歌」として、筆者の独断と偏見で5作品選ばせて頂きましたがいかがでしたでしょうか?共感して頂けた方も、「いやいや、この曲を忘れてない?」なんて方も、たまには昔のドラマを観返してみると、当時抱いていた感情や忘れてしまった何かを思い出せるかもしれません。
記事:猫狸犬虎