2016年も12月に入り、すっかり寒くなってきました。こんなときは、温かい部屋でゆっくりと読書なんていかがでしょうか?
今回は、ぜひ原作を読んで欲しい日本のドラマ作品を5本ピックアップして紹介させて頂きます。既にドラマを観て内容や結末を知っていたとしても、より深く楽しめる原作を選んでみました。もちろん、ドラマを知らなくても十分に楽しめる名作ばかりです。
空飛ぶ広報室(有川浩)
2013年にTBSでドラマ化された、航空自衛隊の広報室を舞台にしたドラマ作品「空飛ぶ広報室」。そして、このドラマの原作となったのが有川浩さんの小説「空飛ぶ広報室」です。雑誌『ダ・ヴィンチ』のBOOK OF THE YEAR 2012で小説1位を受賞したり、第148回直木三十五賞候補に挙がったりと、原作の評価も非常に高い作品です。
ドラマの方は、新垣結衣さん演じる稲葉リカをメインに描かれていますが、原作の方は綾野剛さんが演じられた空井大祐を主軸に描かれています。原作に忠実に作られたドラマとなっており、原作ファンの満足度も高かったと思います。どちらかというと小説の方は恋愛描写が薄めで、より航空自衛隊に焦点が当てられていますので、ドラマの方で新垣結衣さんと綾野剛さんの恋愛にキュンキュンしていた方は少し物足りないかもしれません。
ちなみに、自衛隊が舞台だったり、そのお名前の印象から作者は男性だと思いこんでいたのですが、実は有川浩さんは女性です。
ビブリア古書堂の事件手帖(三上延)
2013年にフジテレビ「月9」枠で放送されたドラマ「ビブリア古書堂の事件手帖」。三上延さんによる日本のライトミステリー小説シリーズ「ビブリア古書堂の事件手帖」の1巻から4巻までが原作となっています。
ドラマの方は、主役の篠川栞子を剛力彩芽さん、五浦大輔をAKIRAさんが演じました。原作との設定の違いやキャストなどに、原作ファンからの賛否こそありましたが、ドラマはドラマで非常に楽しめました。綺麗でやわらかい映像や独特の雰囲気は是非ドラマで味わって頂き、その上で原作を読むと、さらに同作の面白さや楽しさが倍増するのではないかと思います。
流星の絆(東野圭吾)
2008年10月にドラマ化された「流星の絆」。原作は、『週刊現代』に2006年9月から2007年9月まで連載され、2008年に講談社より単行本が刊行された東野圭吾さんの推理小説です。
幼少時、両親を惨殺されるという過酷な運命を背負った三兄妹が、時効の迫る14年後に真犯人を追い詰める復讐劇を、二宮和也さん、錦戸亮さん、戸田恵梨香さんが演じました。物語の真相や展開は原作に沿っているものの、結末や独自エピローグの追加、キャラ性格の改変など、ドラマ独自の内容もたくさん追加されています。
ドラマで本作を知った方も多いでしょうし、ドラマならではの結末や展開にハラハラした方も少なくないと思います。そんな方にこそ、是非とも原作を手に取って頂きたい作品です。始まりから終わりまで、伏線が綺麗に回収されまとめられていく東野ワールドを、そして読み切ったあと、最後に残る読了感、是非とも堪能して頂きたいです。
名もなき毒(宮部みゆき)
2013年7月、TBS系「月曜ミステリーシアター」にてドラマ化された「名もなき毒」。宮部みゆきの長編推理小説「杉村三郎シリーズ」の1作目『誰か Somebody』と2作目『名もなき毒』が原作になっています。
ドラマの主人公である杉村三郎を演じたのは、宮部みゆきさんから指名され起用された小泉孝太郎さん。また、前半のヒロインを深田恭子さん、後半を真矢みきさんと、ヒロインが途中で交代する構成になっているのも特徴と言えます。
ちなみに、同シリーズの3作目となる「ペテロの葬列」も、同じく小泉孝太郎さん主演で2014年にドラマ化されています。ドラマをご覧になられた方は是非、同シリーズの原作も読んでみて下さい。あなたも原田いずみの猛毒に振り回されてみてはいかがでしょう?
白い巨塔(山崎豊子)
そして最後に紹介させて頂きたい作品は、名作「白い巨塔」。1966年の映画化の後、1967年、1978年、1990年、2003年と、何度もドラマ化された不朽の名作です。財前五郎と里見脩二という対照的な医者を描き、医学界の腐敗を鋭く追及した、山崎豊子さんの長編社会派小説が原作です。個人的には、唐沢寿明さん、江口洋介さんの出演された2003年のドラマがとても印象的ですが、視聴者の世代によって思い浮かべる作品が違うかもしれません。
医学界という非常に特殊な設定ではありますが、素人にもきちんと理解出来るように丁寧に描かれており、まったく真逆の2人の人間を描きながら、正義と悪、そして人間のリアルを表現された山崎豊子さん屈指の名作です。
というわけで、原作を読んで欲しい日本ドラマを、独断と偏見で5作品ほど選んでみましたがいかがでしたでしょうか?普段はなかなか活字に触れる機会の少ない方にも、ドラマという分かりやすい入り口があるからこそ、その根となった原作をしっかり読み込んで欲しい作品ばかりです。原作を読み終えたあとに再度ドラマを視聴すると、前回とは違った何かが見えてくるかもしれません。
記事:猫狸犬虎